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【トヨタ プリウス 新型】「単にハイブリッド車であるだけではプリウスにならない」…開発者インタビュー

  • 《写真撮影 中野英幸》
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トヨタ自動車は1月10日より5代目となる新型『プリウス』ハイブリッドモデルの販売を開始。2月頭にメディア向けの公道試乗会を開催すると共に、3月に発売を予定しているプラグインハイブリッドモデルのプロトタイプを試乗する場も用意した。

開発の狙いやプリウスというクルマに込められた想いを、チーフエンジニアの上田泰史氏と開発主査の大矢賢樹氏に聞いた。

◆「このクルマで何処かへ行きたいという衝動を起こす」…上田CE
—:新型プリウスの開発に際し、どのような議論を経て目標を定められたのでしょう?

上田泰史チーフエンジニア(以下敬称略):企画や狙いは一番頭を悩ませたところです。「プリウス=ハイブリッド車の代名詞」という認識が我々にもあるし、お客様にもあるかもしれません。一方で、いまは『カローラ』や『ヤリス』にもハイブリッド車があり、たとえばカローラでは8割近くハイブリッド車が選ばれる状況にあります。世界的にも同様です。したがって、単にハイブリッド車であるだけでは、プリウスにはならないとの思いがありました。

プリウスはどうあるべきか、そこで考えるのが車名には「先駆者」の意味が込められていることです。では新型は、時代にとって何が先駆者となり得るのか?

ハイブリッド車の代名詞という話をしましたが、一方でそれはもしかしたら先入観になっているかもしれない。改めて、これまでエンジン車を選ばれてきたお客様にも振り向いていただけるクルマにしようと、「ハイブリッド・リボーン」の言葉が生まれ、クルマとして原点に帰るなら、カッコイイ、乗ってワクワクする、このクルマで何処かへ行きたいという衝動を起こすことが、一つの道ではないかと思い至りました。そして、カッコイイを具体化するため、デザイナーにイメージスケッチを描いてもらい、そこから開発がはじまりました。

—:2.0リットルエンジンのハイブリッドは、どうして生まれたのでしょう?

上田:ヤリスは1.5リットルのハイブリッドで、カローラは1.8リットルのハイブリッドです。多くのお客様に選んでいただける車種とは別に、虜にさせる走りを目指す新型プリウスを実現するには、ステップアップしたハイブリッド車にしようと考えました。ちょうど、TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)のCプラットフォームに2.0リットルハイブリッド車がある(レクサス『UX』)ので、当初はその2.0リットルハイブリッドだけを考えていました。しかし、前型を含め1.8リットルをご愛用くださっているお客様があり、アフォーダブル(身近な)プリウスという価値も残そうと、後から1.8リットルハイブリッド開発を追加しました。

—:プラグインハイブリッド車は、どう位置付けられたのでしょう?

上田:これまで、ハイブリッド車とプラグインハイブリッド車は別々の商品という設定でした。国内外とも、登録の商品名も意匠も異なる。しかし新型では、プリウスという一つのブランドのなかで、上質さや走りでハイブリッド車の上をいく選択肢としました。

また、市場の声として、モーター走行は60km以上可能であってほしいとの要望があり、車載バッテリー容量を50%増す目標としました。これによって、たとえば米国でも日常的にモーター走行だけで済ませられ、夜間に自宅で充電すれば翌日も同じように走れます。日本では、マンションなど集合住宅での充電が難しい状況があり、販売店や住宅メーカーなどと連携して、そのあたりを支援したり、啓発したりしていきたいと考えています。

—:これまで、トヨタはプラグインハイブリッド車を「PHV」と呼んできましたが、新型プリウスでは「PHEV」としました。その理由は?

上田:プラグインハイブリッド車の位置づけをもっと高めていきたいと思うからです。市場で電動車への認知度や期待が高まるなか、電動車であることを強く表現したかったのです。これによって、ハイブリッド車も従来の「HV」から「HEV」としました。

◆「新型は車高を下げながら室内空間を有効に活用したかった」…大矢主査
—:クルマについて、詳細にお聞きしたいのですが、2.0リットルのハイブリッドは、どのような改良がなされたのでしょう?

大矢賢樹 開発主査(以下敬称略):レクサス UXのシステムは第4世代ですが、そのガソリンエンジンは流用し、モーターとバッテリーの性能をより高め、第5世代としています。出力の上がった分を、走りに振っています。

—:1.8リットルの方は、いかがですか?

大矢:ミニバンの『ノア/ヴォクシー』に搭載している第5世代と同じです。これもモーターとバッテリーの出力が向上しているため、4代目(前型)プリウスに比べ出力が上がっています。

—:バッテリーの種類は?

大矢:すべてリチウムイオンバッテリーです。

—:『アクア』で新採用された、バイポーラ型のニッケル水素とどちらを選ぶか、検討されたのでしょうか?

大矢:新型は車高を下げながら室内空間を有効に活用したかったので、バッテリー寸法の面でリチウムイオンバッテリーを選びました。バイポーラ型ニッケル水素バッテリーは、やや背が高いのです。

—:前型に比べ、車体寸法はどう変わったのでしょう?

大矢:全長で25mm、全幅で20mm拡大し、車高は40mm下がっていますので、よりワイドアンドローになっています。ホイールベースは、50mm伸びて2750mmです。

—:新車というと、いずれも車体が大きくなっていく傾向がありますが、新型プリウスではどう見極められたでしょう?

大矢:プリウスはグローバルカーですけれども、販売の中心は日本とアメリカです。アメリカは大きい方がよいという要望は変わりませんが、国内事情を考えると、立体駐車場の制約なども考慮する必要があります。そこで、全幅は1780mmとしました。世界的にも、Cセグメントとして妥当な寸法ではないでしょうか。

—:プラグインハイブリッド車では、屋根のソーラーパネルが一つの特徴かと思います。

大矢:ソーラーパネルの採用は、3代目プリウスから行っています。3代目では、ハイブリッド車で補器用電力を補うことしかできませんでしたが、4代目で容量は限られましたけれども駆動用にも利用できるようにしました。そして新型は、駐車中の発電により、1250km/年の走行を可能にするよう性能を高めています。また走行中は、空調やオーディオなどの補器用電力として利用できます。性能ではありませんが、ソーラーセルの縁をわかりにくくする意匠の改良を行い、屋根が一体で見えるよう見栄えを改良しました。

—:PHEVへの期待は?

大矢:新型プリウスの選択肢として、商品カタログにもPHEVを差し込むようにし、お客様に選んでいただけるようにしています。一方、集合住宅の駐車場所での充電は解決しなければならない課題であると承知しています。民間企業や自治体などとも協力しながら、PHEVの有効性や賢い選択であることを伝えていきたいと思います。トヨタ・グリーンチャージという活動もはじめています。