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【ホンダ CR-V 新型】開発責任者が語る“CセグSUVの王者”とは?…相反する性能と価値を両立

  • 《写真提供 ホンダ》
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  • 《写真撮影 内田俊一》
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ホンダは基幹車種であり、グローバルで最も販売台数の多い『CR-V』をフルモデルチェンジし、日本への導入を開始した。そこでその狙いや開発のポイントについて開発責任者に話を聞いた。

◆王者の継承
「学生時代に初代のCR-Vが発売され、ビリー・ジョエルの音楽とともにさっそうと走るそのCMを見て、エポックメイキングなクルマが出てきたなと思ったことを覚えています。まさか30年後にこの開発責任者をやるとは思ってもみませんでした。グローバルで非常に高く評価されているCR-をさらに魅了する車両にしたいと開発に携わりました」とこのクルマへの思いを語ってくれたのは、本田技研工業四輪開発本部完成車開発統括部LPL室LPLチーフエンジニアの佐藤英資さんだ。

冒頭のようにホンダにとって販売台数が多い、つまり事業としても非常に大きな柱になるCR-Vついて佐藤さんは、「SUVブームとともに競合他社も似た強力なクルマが増えて来ました。6代目CR-Vもその市場でどうやって戦っていくか。グローバルでのCR-VはCセグメントSUVの王者的な位置づけにあります。当然6代目でも王者という位置づけを死守しなければいけない。これが最大のミッションでした」と重責だったことを語る。

王者を継承するために、「相反する性能と価値を徹底的に洗い出し、それを高い次元で両立することを目指しました」と佐藤さん。例として、「上質なインテリアなのにタフに使える。非常にスポーティな外観ですが、人が乗りづらいとか、運転し難いということがなく、荷室容量もしっかり確保している。こういったところを妥協せず両立するように開発しました」とのことだった。

◆満足よりさらに上の感動を目指して
そこでコンセプトの方向性も、「SUVだからなどの言い訳や諦めを一切排除し、究極のオールラウンダーを目指しました」と佐藤さん。

「パッセンジャーカー同等の快適性やMPV同等のユーティリティ性、そして都市型SUVではありつつも、クロカン並みの走破性、スポーティでセダンライクな走りを目指しています」と述べる。因みに高い車高のSUVであるから快適性を求めるとふわついた乗り味になりそうだ。その点も佐藤さんは、「ホンダDNAとしてもそこはちょっと違いますよね。ですからセダンライクなしっかりとした乗り味になるように剛性などを最適化することで、そこも高い次元で達成しています」とコメントした。

佐藤さんは新型CR-Vについて、「気軽に使えるクルマの代表格で、ジーンズやスニーカーのようにタフな使い方を目標しながら、スーツも似合うプレミアム感も持ち合わせているでしょう。そんな中で、お客様に感動をしっかりと生んで、日常を誇れるような、所有する喜びの代表のクルマになればいいと開発しました」と述べる。

そういったことを踏まえCR-Vのグランドコンセプトは「感動CR-V」となった。佐藤さんは、「コストやウェイトの制約もある中で悩むことがあります。この仕様は本当に必要なのか、この仕様はコストで妥協して設定しなくてもいいのか、そういったときにこれでお客様が感動するのかと考えるためのコンセプトは重要です。満足するかというのではなく、さらに上の感動するか。そこに立ち返ることができるような軸になるコンセプトで開発していきました」という。

◆機種目線と事業目線
日本市場においてCR-Vは一度ラインナップから落とされたのち、FCVとして復活。その後6代目CR-Vを日本市場に導入したのはなぜか。佐藤さんは、「2022年8月に5代目の販売が終了し、その数か月後に『ZR-V』を出しています。実は5代目とZR-Vのサイズはほぼ一緒なのです。日本の道路事情や、経済的な環境を見据えるとこれまでのCR-VのポジションをZR-Vに担わせようと考えていました」と説明。4代目、5代目のCR-Vは販売台数が低迷していたことも要因だったようだ。

しかしZR-Vは好評ではありつつも、「より大きいサイズが欲しいというユーザーの声」とともに、「海外で出ているCR-Vが欲しいという声が多くありました」。それはCR-Vというブランド力、つまりはCR-Vユーザーからの声だった。

もう一つ大きなキーがあった。それはホンダという企業としてのものだった。いま、ホンダは軽自動車やスモールカーといったコンパクトなクルマが得意だというイメージが強い。しかし今後は、「BEV化に伴って高価格帯のホンダ車も売っていきたいんですが、いきなり軽自動車から電気自動車の価格帯なると、お客様の層も違いますので、移行も難しいでしょう。そこでZR-Vや『アコード』、そしてCR-Vとある程度の価格帯のクルマをラインナップすることで、さらにその次に来るべきもう少し高価格帯の電気自動車のユーザーにつなげていこうという考えがありました」と、機種目線と事業目線の2つからこのタイミングでCR-Vを出したことを明かした。

◆充実した装備で
最後に先代CR-Vの強みと弱みを聞いてみた。日本市場での強みは、「荷室の大きさなどからくる実用性の高さと欧州で鍛え上げた走りの良さです」という。一方装備的には弱い面もあった。それは5代目も若干遅れて日本で発売したからだ。具体的には7インチセンターディスプレイやセンシング機能などが挙げられた。

そこで新型では、ホンダセンシング360をホンダのSUVとしては初採用。また、CR-Vはグローバルで様々な仕様があるのだが、「日本仕向けのRSブラックエディションという上級グレードは、ほぼグローバルで入れている装備の“全部盛り”状態になっています」と、装備に関しても充実したものになっていることを強調した。