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日産 GT-R NISMO 2020年モデル…開発主菅「走る、止まる、曲がるを突き詰めた」

  • 《撮影 小松哲也》
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  • 《撮影 高木啓》
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日産自動車は4月17日、『GT-R NISMO』の2020年モデルを都内で公開した。車両開発主管を務める田沼謹一常務執行役員は「運動性能のレスポンスをさらに高めることに加えて空力性能についても今回新たな取り組みを施した」と話す。

さらに「NISMOの宿命としては、やはり速さにある。走る、止まる、曲がるの3要素をどこまで突き詰められるかが開発陣のチャレンジになる」とも。

まず加速性能について田沼常務は「新しいターボチャージャーを開発した。これは昨年レース実戦投入した『GT-R GT3』との共同開発となる。タービンブレードの構造を全く新設計した。まずタービンの羽根を従来の11枚から10枚に1枚変更することによって慣性質量を低減させ、レスポンスの向上を図っている。一方、羽根の枚数を減らすと流量も減ってしまうが、最新の流体力学のシミュレーションを用いて今までと遜色のない流量を確保するといった相反する性能を両立させている」と解説。

ブレーキ性能では「今回カーボンセラミックブレーキを開発。従来の鋳鉄では390mmだったローターの直径を410mmまで拡大した。サーキットでホームストレッチから1コーナーに進入する、ここぞという時の制動力は世界最高レベルだと自負している」と強調。

さらに「カーボンブレーキが苦手な領域である低速域、低音域でも大変使いやすいブレーキを目指した。そのためにローターに合わせて専用の高剛性キャリパー、そのローターとキャリパーに合わせた専用の摩擦材を用いたブレーキパッドの3点セットで開発した。そのキャリパーもいろいろな色を試して、1000度近い超高温の領域でも耐食の少ないイエローを選択した」と明かした。

ハンドリングに関しては「今回のモデルではフロントフェンダー、ルーフにもカーボンパーツを採用した。これにより重心から遠い領域の質量を下げて、さらなるハンドリングのレスポンスの向上を図った。またブレーキも大変な軽量化を成し遂げていて、約16kgの大幅な軽量化を図っている。バネ下の重量は、車両重量に相当すると10倍の感度があるといわれている。従って1輪で3~4kg軽量化することによって30~40kg減の効果がある。それも今回の類稀なるハンドリング性能を実現するNISMOモデルに貢献するひとつの特徴になっている」とした。

一方、空力性能では「フロントフェンダーにアウトレットを設けた。実はフロントフェンダーを軽量化するとタイヤにかかる接地荷重が減ってしまう。250~300km/hといった極限な領域でも意のままに操れることをNISMOは目指しているので、それを補うためにアウトレットでダウンフォースを増やした。合わせてホイールハウス、エンジンルームの排熱を促進するといった極限領域でのサーマルマネジメント、熱性能もしっかり安定化している。そういった開発を行ってきた」とのことだ。

GT-R NISMOの2020年モデルは5月中旬から先行予約を開始するという。なお価格は現時点で公表していない。