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【三菱 アウトランダーPHEV 新型】みんなが自信を持って移動できる空間…開発責任者[インタビュー]

  • 《写真撮影 内田俊一》
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三菱『アウトランダーPHEV』は三菱らしさをより求めて走りやS-AWCの性能強化。そして大きなポイントとなる3列シートなどを強みとして開発された。そこで開発責任者にこだわりを聞いた。

◆電動感からくる強く滑らかな走り
—-:新型アウトランダーPHEVは、力強さ、頼もしさ、上質感、強く滑らかな走りの4本柱で開発されたと伺っています、その中で強く滑らかな走りは他の形容詞とはニュアンスが違う印象です。この辺りを教えていただけますでしょうか。

三菱商品戦略本部チーフ・プロダクト・スペシャリスト(CPS)の上原実さん(以下敬称略):このPHEVは、先代から三菱ならではの電動車から派生したハイブリッドというのがウリであり、当社の特徴だと思っています。ハイブリッドやプラグインハイブリッドは欧州メーカーからも出ていますが、実際に乗ってみると電動走行のメリットを享受できるクルマがそれ程なかったり、燃費は結果的に良いのですが、変速ショックが大きかったり、乗り心地がいまひとつというクルマが結構ありました。

三菱自動車がPHEVにずっとこだわり続けてきたのは、『アイミーブ』という電動自動車を世界に先駆けて出せたということもあります。またそこから作ったプラグインハイブリッドということで、具体的にはシームレスな加速感や、なるべくエンジンをかかりにくくしていて、もしエンジンがかかっても始動したかどうかがなるべくわかりにくくすることなどを追求しています。その結果として電動車らしさを一人でも多くの方に長く味わって頂きたいというところから来ていますので、そこはエモーショナルな言葉ではなく、即物的な価値を表現しているのです。

—-:因みに先代のお客様からはもっと電動感が欲しいという声はあったのでしょうか。

上原:はい。電動感には色々な特徴があります。例えば加速感などですね。その中で一番要望をもらったのは、エンジンがかかるとがっかりするというものでした。それはつまりできるだけモーター走行をしたいということでしたので、今回バッテリー容量を上げたり、また、電費を悪くする原因は冬場にヒーターを使うとかがありますので、そのあたりを相当改良して、今回モード燃費では80kmはEV走行ができるなどで相当期待に応えられているかなと思っています。

◆せっかくの技術も使ってもらわないと意味がない
—-:一方で三菱としては絶対に外せない四輪駆動技術に関してはいかがでしょう。

上原:四輪駆動はインターフェイスも含めて相当進化しています。S-AWCの進化はもちろんですが、それをいろいろなシーンで最適に使いこなしていただけるように、モードセレクタを7つ選択できるようにしました。これでいままで以上にひとつひとつのモードにメリハリがついて、シーンごとに最適に使ってもらえるようになっています。

いままでよくお客様にいわれたこととして、このモード選択がありました。クルマ好きの方はひとつひとつのモードを理解しているでしょうが、例えば、ターマックモードなどの言葉は一般的ではなく分からなかったりするのです。そこで今回は切り替えダイヤルの上に図形表示をして、そのモードはどのようなときに使えばいいかということを視覚的にわかるようにしたり、モードを切り替えるとメーター画面が切り替わって、走行するイメージシーンが表示されたりするようにしました。そうすることで、クルマにあまり詳しくない奥様なども、きょうは雨が降っているからこれが良いとか、雪が降ったらこれにすればいいなど、使いこなしてもらえるような配慮がすごく進化しています。

—-:その辺りは過去の反省もあったんですか。

上原:あはは(笑)。4WDは結構わかり難かったりするんですよね。実は私の家内もそうなのですが、切り替えボタンがあってもこれを押すと何が起こるかわからないからやめておこうとか、割とクルマに詳しくない方が使いこなせていないという実感を持っていたんです。せっかくの技術も使っていただかないと意味がないですよね。ユーザーエクスペリエンスは大切だと思っていて、このクルマを買うといままでと違って何ができるのかはきちんとお伝えしたいんです。

よく聞くのは家族でスキーに行くと、お母さんは雪道で運転できないので必ず運転はお父さん。箱根に買い物行きたいが、お母さんは峠道が苦手なのでお父さんが運転とか。しかし、そういう奥様でも、スキーに行くときに切り替えモードでこれを選べば私でも行けるとか、峠道にいったら私でもすいすい走ることが出来るとか。さらにお父さんが家にいて、私は子供と積極的にスキーに行ってくる。あるいは箱根に行って、お父さんは買い物中にお酒を飲んじゃったから、帰りは私が運転して帰れますみたいな、少しでもいままでできなかった楽しいことが、みんなで出来るようになればいい。そういう気持ちを凄く持っているのです。ですからインターフェイスにはすごくこだわりました。

◆こだわりの3列シート
—-:今回PHEVで3列シートを採用するのはかなりのご苦労があったと聞いています。

上原:その通りで、最初から3列シートは必要だと考えていました。先代モデルで3列が出来なかったのはそれなりの理由があって、それを打開するのに相当エンジニアには苦労を掛けました。最初に出てきた3列シートは、ペラペラのもので、これくらいしかできないということだったのですが、さすがにこれはダメだろうと、試行錯誤してもらって、ちゃんとしたものにできました。

全長4.7mくらいのこのクラスは他社ではトヨタ『RAV4』やホンダ『CR-V』、マツダ『CX-5』など基本的には5人乗りです。もう少し上の4.9mぐらいのマツダ『CX-8』やトヨタ『ランドクルーザー』などになると3列や8人乗りになっていきます。ですのでこの車格で3列シートがあること自体がかなり珍しい存在なのです。実際の競合車にはトヨタ『ハリアー』やレクサス『LX』なども上がってきてます。

—-:新型ではPHVのみでの日本市場へ投入されました。先代のアウトランダーPHEVのユーザー層はどういった方だったんでしょう。

上原:属性的なところからいくと、40から50代のファミリーが多いですね。マインド的には、先進技術に非常に興味のある方や環境意識の高い方。そして三菱特有かも知れませんが、アウトドアレジャーが好きな方でした。かなり高額だったということもあって、割と他銘柄、欧州のプレミアムブランドのエントリー的なSUVからの乗り換えや、競合も多く、これはかなり特徴的でした。

—-:そうすると質感を高めるというのは必要になりますね。

上原:そうなのです。特のそのあたりのお客様の声は強かったですね。

—-:では新型もターゲットユーザーはそれほど変わらずにというイメージですね。

上原:属性やマインド的なところはあまり変わらないと思うんですが、もう少しカバレッジを広げたいという思いはあります。そのひとつが3列シートです。これをつけることで、日本だとかなり人気があるミニバンセグメントや、内装の質感を大幅に良くしたので、500万円ぐらいの価格に相応なクルマができたと思っていますので、いままでよりも上のセグメントに乗っている人にも来てもらいたいですね。

—-:新型アウトランダーを開発するにあたり、これは絶対に実現しなければいけないということは何だったのでしょう。

上原:走りの信頼感とか頼もしさですね。みんなが楽しく自信を持って移動できる空間、つまりパッケージングです。これは歴代アウトランダーの生命線で、結果的に変わっていないところでもあります。今回も他車と比べて、その辺りがアドバンテージになっています。インテリアの室内の長さや広さが随分と他車に勝っているところで、そこに今回の進化ポイントとして、外観の力強さとか、インテリアの豪華さが加わったのです。そこにPHEVの良さに磨きがかかりました。