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日産の次世代運転支援技術…連続した緊急回避に加え、ドアツードアの自動運転も視野

  • 《写真提供 日産自動車》
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日産自動車は4月25日、300m先の渋滞や歩行者の飛び出しなどを瞬時に把握し自動回避する運転支援技術『グラウンド・トゥルース・パーセプション』を公表した。2020年代半ばまでに開発を完了させ、2030年までにほぼすべての新型車への搭載を目指すとしている。

グラウンド・トゥルース・パーセプションは次世代高性能ライダーおよびレーダー、カメラからの情報をもとに車両の周囲の状況や物体を正確に把握し、前方車両の横転や歩行者の飛び出しといった緊急時にクルマを自動操作して回避する技術。連続して発生する緊急事態にも対応できるほか、地図が無い場所での自動運転も可能になるという。

日産で先行技術開発の責任者を務める飯島徹也AD/ADAS先行技術開発部部長は「地図が整備されていない道も自動走行ができるようになることで、真のドアツードアの自動運転の実現が視野に入ってくる」と語る。

グラウンド・トゥルース・パーセプションで採用する次世代高性能ライダーはルミナ―社製。その採用理由について飯島部長は「世界の高速道路の一般的な最高速度130km/hで走行中に渋滞末尾に停止している車両を検知して、通常の車線変更で回避することができるようにするため、300mと現行の2倍以上の検知距離を目指している。検知距離を2倍にすると遠方ほどビームが広がるので角度分解能も2倍にする必要がある。垂直検知角で25度以上、検知距離で300m以上そして角度分解度能で0.05度以下という目標に対してルミナ―社のライダーが性能を満たし、かつ最も開発が進んでいるので今回の実験車に搭載している」と明かす。

ただ次世代高性能ライダーを始め、レーダーやカメラからの情報を融合し、緊急時に車両を自動的に回避するためのアルゴリズムは「日産の内製技術で開発を行っている」とのことだ。

●実験車両のデモ走行画像も公開
日産はグラウンド・トゥルース・パーセプションの技術概要に加えて、実験車両が自動で緊急回避操作を行うデモ走行映像も公開した。飯島部長は「車両の周囲に7個のレーダーと10個のカメラを配置し、さらにルーフ上にライダーを搭載している。ルーフ上にライダーを搭載する理由は、低い位置に置くとビームが周囲の車両で遮られてしまう、遠くまで空間把握するために高い位置に搭載することを選択している。グラウンド・トゥルース・パーセプションの情報に基づき高度な車両制御を行い、瞬時の状況判断と操作を実現する」と解説。

その上で「日産は安心して使える自動運転の実現に向けて、緊急回避性能の自動化はまず解決すべき課題であると考えている。今回の技術開発を加速、進化させ自動運転技術の次のステップを確実に高めていく」と飯島部長は強調した。