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フェラーリ『296GTS』にサーキット仕様、「アセット・フィオラノ」…欧州設定

  • 《photo by Ferrari》
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フェラーリは4月19日、新型プラグインハイブリッド(PHV)スポーツカーの『296GTS』に、サーキット走行仕様の「アセット・フィオラノ」(Ferrari 296 GTS Assetto Fiorano)を欧州で設定すると発表した。

◆サーキット走行用に最適化された足回り
アセット・フィオラノとは、「フィオラノ・パッケージ」を意味する。その設定は、フェラーリのフラッグシップモデルの『SF90ストラダーレ』などに続くもの。フィオラノは、フェラーリの自社サーキット(テストコース)の名前だ。296GTSのアセット・フィオラノでは、パワーとパフォーマンスをサーキットで最大限に活用したい顧客に向けて、軽量パーツや空力的モディファイ、GTレースのノウハウを生かしたサスペンションなどを採用している。

アセット・フィオラノでは、軽量化や専用エアロパーツの装着が行われた。主な装備には、サーキット走行に最適化された特別なアジャスタブル・マルチマチック・ショックアブソーバーや、10kgのダウンフォースを上乗せするフロントバンパーのカーボンファイバー製ハイダウンフォースパーツがある。

また、カーボンファイバーなどの軽量素材を、キャビンとエクステリアに幅広く使用した。アセット・フィオラノでは、ドアパネルなど、標準仕様の基本構造を再設計する必要が生じたコンポーネントもある。その結果、全体で8kgの軽量化を実現しているという。

アセット・フィオラノを選択すると、1963年に発表されたフェラーリ『250LM』をイメージした専用カラーリングをオーダーすることができる。このスタイリングエレメントは、フロントの両端から始まり、中央のグリルを包んでその外周を縁取り、ボンネットへと続いてハンマーのモチーフを形成。さらに縦に伸びて、RHTとトノカバー、リアスポイラーへと続く。アセット・フィオラノでのみでオーダーが可能なパーツには、高いグリップ力でサーキット走行に適したミシュランの高性能タイヤ、「パイロット・スポーツ・カップ2R」がある。

◆250km/h走行時に360kgのダウンフォース
296GTSでは、2013年発表の『458スペチアーレ』で導入されてから受け継がれてきたアクティブエアロの枠組みを覆し、可動デバイスをドラッグ低減のためではなく、ダウンフォース増加のために利用している。『ラ・フェラーリ』をインスピレーションとするアクティブスポイラーをリアバンパーに組み込み、必要な時に高いレベルのリアダウンフォースを発生する。アセット・フィオラノの場合、ハイダウンフォース設定時に発生する最大量は、250km/h走行時に360kgに相当するという。

空力面の開発によって、296GTSはロードラッグ設定時でも、従来モデルより大きなダウンフォースを獲得する。ハイドラッグ設定では、アクティブスポイラーによってダウンフォースが100kg上乗せされる。PHVシステムのラジエーターは排気口が2個あり、スポイラーの両サイドのすぐ下に位置する。このソリューションによって、フロント中央部の空間に余裕が生まれ、これをダウンフォース発生に利用している。

296GTSでリアのエアロダイナミクスを特長づける中心的存在が、アクティブスポイラーだ。これがダウンフォースを上乗せし、高速走行時のハンドリングとブレーキングのパフォーマンスを最大化する。このアクティブエアロのコンセプトは、458 スペチアーレ以降のフェラーリのクーペで採用されてきたものとは正反対という。従来は、ディフューザー上のフラップをハイダウンフォース設定からロードラッグ設定へと変えて、ストレートで最高速度に到達することを可能にしていた。しかし296GTSでは、可動エアロデバイスによって、ダウンフォースが増加する。

この可動リアポイラーは、バンパーのデザインと一体化しており、左右のテールライトの間を占有している。最大のダウンフォースが必要でない状況では、スポイラーはテール上部のコンパートメントに格納。車両のダイナミック制御システムがモニターしている加速度が一定の数値を超えると、スポイラーが展開する。この複合効果によって、リアアクスルにかかるダウンフォースが100kg増加し、操作性が高まるとともに、ブレーキング時の制動距離が短縮されるという。

◆V6エンジン搭載でV12に匹敵するサウンドを追求
296GTSはサウンドの面で、通常は相反する二つの特性、ターボのパワーと、自然吸気V型12気筒エンジンが奏でる高周波音のハーモニーを両立させた、と自負する。低回転域でも、V12の純粋な音の重なりに匹敵するサウンドをキャビン内で楽しめ、高回転域ではフェラーリらしい高音を届けるという。このフェラーリサウンドは、ルーフを開いて走行中でも、前例のない一体感を生み出す、と自負する。

「F163型」エンジンファミリーの第一弾となるV型6気筒ガソリンターボエンジンには、開発中に「ピッコロV12(ミニV12)」という愛称が与えられた。バンク角120度のアーキテクチャーによって点火順序を左右対称にでき、等長のチューンドエグゾーストマニフォールドと、ホットV外側の1本出しの排気ラインが圧力波を増幅させた。8500rpmという高回転でのレブリミッターも、これに貢献しているという。

特許取得の「ホットチューブ」は、再設計された。排気ガス後処理システムの前にレイアウトされており、純粋なサウンドをキャビンに伝達し、ドライバーの一体感と興奮をさらに高めるという。ルーフを閉じた時も、開けた時も、エンジンサウンドをいっそう向上させる、としている。