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フィアット 500e、全数をディーラーに戻す…セールスダイレクター[インタビュー]

  • 《写真撮影 内田俊一》
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ステランティスジャパンが導入を開始するフィアット『500e』は全てリース販売となる。その理由について営業部セールスダイレクターに話を聞いた。

◆サスティナブルに売ること
ステランティスジャパンが扱うフィアット初のEV、500eを販売するにあたり、「単にクルマを売るだけということではなく、いかにこのクルマをサスティナプルに販売するかを考えた」とはステランティスジャパン営業部セールスダイレクターの牛久保均氏の弁。

EVは走行時にCO2を出さないクリーンなクルマではあるが、製造時や車両廃棄時にCO2を多く排出する。そこで「全てのクルマが販売店に戻ってくるような仕組みにする。つまりリース販売だ」。その結果として全車返却となることで、車両廃棄時のCO2を減らすことが目的だが、それ以外にも、「EVの残価がとても厳しい状況があり、100%販売店に戻すことでその残価を守る。5年で30%前後の残価を目指す」とした。現状では5年リースとし、その理由は、「政府の方針で4年以上乗らないと補助金を返さなければいけないが、それを知らないお客様が多い状況だ。そこでまずは5年リースでスタート」とするが、「政府の補助金体制が変われば3年も始めたい」と述べる。

現在リースプランは2種類あり、ひとつは通常の個人リースのパケットフィアット。もうひとつはフィアットエコプランで、サブスクリプション型リースだ。価格も、ボーナス11万払いとして、個人型リースが3万4000円から。そしてサブスクリプション型が5万3900円である。牛久保氏はこの500eを「若い方に乗ってもらいたいので、サブスクリプション型リースは任意保険も組み込んでいる」とその内容を説明。

また、EVを使う上では充電は欠かせない課題だ。牛久保氏は、「日本の大手のエネルギー企業と提携し、まずフィアットの73拠点に提供される急速充電器(50kWh)を配置していく。さらにステランティスジャパンのフィアットを加えた340拠点にも同じ急速充電器を設置。提携先の大手エネルギーメーカーが今後展開する1000拠点の急速充電器も合わせ、約1340拠点のネットワークを作る予定だ」と述べた。

◆リースアップ時には買取も視野に
ここからはもう少し細かく話を聞いてみよう。

—-:愛車として自分の所有にしたいというお客様も多いと思います。その際の対応はあるのでしょうか。

牛久保氏(以下敬称略):今回だけはまずリースで始め、一旦返却する形からスタートします。ただし、乗っていただいた最後に所有したいということであれば、例えば5年後などにご提案したいと思っています。

—-:つまりそこでリースアップで買い取りをするかどうかなどの相談が出来るようにするということですね。

牛久保:そうですね。

—-:今回、ターゲットがすごい幅広く、若い方から50代以上まで想定されるようです。種類のリースの方法はどのように分かれていくとお考えですか。

牛久保:おっしゃる通りで、電気自動車を考えていらっしゃる方、また500が好きな方は4から50代が多いんです。その方々は通常リース(パケットフィアット)の利用が多くなるでしょう。

実は現在、安全運転のサポートアプリ、“フィアットチャオドライブ”というものを開発しています。これはスコアで安全運転度合いを測るもので、その結果として事故が減っていけば、3年後くらいに全体のリース価格を見直したいとも考えています。

◆リースのバリエーションはさらに進化させる
—-:いま色々とリースに関してお話を伺うと、臨機応変な対応が求められ、かつ、お考えになっているように感じます。そのあたりを狙っていますか。

牛久保:狙っています。ですのでフィアットチャオドライブを作って、お客様がどのくらい距離を走っているのか、また安全度具合を定量的に把握して、そこからさらに細分化した、例えば若い人の事故が多いとすれば20歳代と30歳で分けたサブスクリプションのメニューを考えたり、距離別だったりと、新しい施策につなげていきたいと考えています。

—-:今回はまずは枠組みを作り、そして今後どんどん情報を蓄積していくことで、新しいお客様が喜んでくれるようなプログラムを作っていくイメージですね。

牛久保:よりお客様に乗っていただきやすいようにしていきます。

—-:もう1つ気になることとして、若い方たちが電気自動車を買うことを想像すると、地方の人になると思います。一方でディーラー網を考えると、なかなか難しいようにも思うのですが、いかがでしょう。

牛久保:おっしゃる通りで、多分地方の方にポテンシャルがあるのは確かです。とはいえ現在年間4000台ぐらいで販売してる500ですし、500eは今年500台だけなんです。そういった状況を踏まえると、一先ずは既存のネットワークだけで、全力で販売していくことになるでしょう。