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月面ローバ、e-POWERシルフィ、CHILL-OUT、たま…日産フューチャーズで見られる[写真27点]

  • 《写真撮影 中尾真二》
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「日産グローバル本社ギャラリー」(横浜市)では12月27日まで「Nissan Futures」(日産フューチャーズ)が開催されている。どんなクルマが展示されているのだろうか。

◆コンセプトカーはバーチャル含め4種
コンセプトカーの実物大モデルが見られるのが次世代クロスオーバーEVの『CHILL-OUT』だ。メインステージ上にアリアとともに並んでいる。残念ながらステージに上がることができないので、インテリアを直接見ることはできないが、

11月29日に発表された長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」(日産アンビション2030)で紹介された『Hang-Out』(SUV)、『Max-Out』(オープントップスポーツ)、『Surf-Out』(ピックアップトラック)は、バーチャル体験コーナーで参加型コンテンツの素材として使われている。希望者は3つの中から希望の車種を選んで、スクリーンになったステージ上でクルマといっしょに動画を撮影してもらえる。撮影した動画はその場でスマホにダウンロードできる。

22年に発売が決定している『iMk』のコンセプトモデルバージョンも展示されている。フロア展示なので内外装をかなり間近に見ることができる。ただし、ドアを開けたり中に乗り込んだりはできない。iMkは「サクラ」という名前で市販される予定で、ネットでは「サクラ」と思しき偽装された車両の目撃情報や写真もアップされている。

◆なぜ日本に投入しないe-POWER シルフィ
国内には導入されていない車両も展示されている。欧州仕様の『キャシュカイ』、中国仕様の『シルフィ』と『エクストレイル』だ。シルフィはe-POWERモデルとなっており、スタイルといいぜひ日本市場でも発売してほしい。

ディーラーでも実物はなかなか見る機会がすくない『ノートオーラ NISMO』も展示されている。オーラ NISMOは運動性能、応答性能が各段にあがるモノチューブのショックアブソーバーを採用し、VCMを専用チューニングするなど、空力やドレスアップのみのカスタムカーとは一線を画す。なお、モノチューブ(単筒式)のショックアブソーバーは、その性能や耐久性から競技車両向けといっていい。市販車にも社外品などで交換する場合もあるが、通常は乗り心地が悪化する。オーラ NISMOの場合、ショックアブソーバーの容量を大きくすることで、乗り心地への影響を最小限に抑え、走行性能の向上を狙っている。

VCM(ビークルコントロールモジュール)は、EVやe-POWER車のパワートレイン制御を担う部品だ。従来車であればECUチューニングやROMのマッピング変更に相当するチューニングだが、NISMOのセッティングはメーカーの設計データや開発データを直接利用しており、オーラ NISMOの場合、実車を使った6軸のシミュレーターを使ったセッティングを行っている。

◆EVの日産ならでは展示
Nissan FuturesのメインはEVだ。CHILL-OUTなどのコンセプトモデルはすべてEVである。現行『リーフ』の他、初代リーフ、『ハイパーミニ』、「たま」など、日産の電気自動車の歴史を作った車両がそろっている。

ハイパーミニは2000年に、個人向けに販売されたリチウムイオンバッテリー式のEVだ。初代リーフより10年も前に市販されたが、実際には自治体の社会実験などに利用された。もちろんハイパーミニの開発ノウハウや実証実験のデータは、のちの初代リーフに生かされている。

初代リーフは、EVに慣れていない評論家やジャーナリストに不評だったが、当時としてもパッケージはよくできている。5人乗車で普通に荷室も確保されており、運動性能やランニングコスト、充電効率など、三菱『i-MiEV』とともにファンは少なくない。惜しむらくは、日本向け車両のバッテリーの温度管理を空冷としたことだろう。海外などで行われている、初代リーフに現行リーフの40kWhまたは62kWhのバッテリーを換装する「レトロフィット」を国内でも解禁すれば、初代リーフのリセールバリューはもっと上がるはずだ。

「たま」は戦後の占領下、石油やガソリンの供給が制限されていた時代に開発された電気自動車だ。筆者が「たま」を最初に見たのは愛甲石田にある日産のR&Dセンターだ。ロビーに展示してあった。なお、このR&Dセンターは自家用車で通勤する人が多く、構内の駐車場のいたるところにDC急速充電器が設置されており、駐車場のリーフ率が異様に高かったのを憶えている。

「たま」の特徴は、ホイールキャップのデザインをよく見るとひらがなで「たま」と書かれていること。そしてAピラーについている「耳」のようなものが機械式の方向指示器(ターンシグナル)になっていることだ。

◆FCVより実用的? e-4ORCEローバ
他にも現行リーフをベースとしたレース用車両、『アリア』のパワートレインを利用した『アリア・シングルシーター・コンセプト』やフォーミュラEの日産参戦車両なども見ることができる。

最後に紹介するのはJAXAと共同研究中の「月面ローバ」だ。アリアに搭載された「e-4ORCE」の制御技術を、月面探索ローバ(ローバー)に応用するための試作機だ。月面は砂漠のような砂地、石ころが散乱する路面、急斜面など文字通りのオフロードだ。e-4ORCEは2モーターの4WD制御技術として、走行性能、操縦安定性、悪路走破性を高いレベルで実現する。

EVならではの緻密なモーター制御により、タイヤの空転を4輪で細かく制御し、トラクションロスを最小限にし、回生エネルギーも最適化する。試作機は4モーターでさらに制御の幅を広げ、砂地でも潜らない(タイヤの空転はスタックの元である)、3輪浮いても動くことができる車両制御を目指している。4輪独立制御ができれば、超進地旋回や斜め移動など普通のクルマでは実現できない軌道で障害物回避も可能だ。

なお、月面探索車はトヨタもJAXAとFCVの開発研究を行っている。そちらは太陽光発電とバッテリーでは長期ミッションをこなせないとFCV(燃料電池)を採用しているが、月面や火星での活用を考えると、酸素タンクと水素タンクを搭載し、その補給も考えなければならないFCV(実際、このFCVの運用はサポートとして電源車を必要とする)よりEVのほうが実用性が高いという見方もある。FCVは宇宙空間で貴重な水を生成できるメリットはあるが、それは発電・水プラントとしての機能であり、移動体や車両用途に向いているとは限らない。

日産の取り組みは車両全体の開発ではないが、EVの制御技術は無人機・有人機・FCVにも適用可能だ。