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【ホンダ NSX タイプS】すべてが機能美、ワンオフのコンプリートカー?…エクステリアデザイナー[インタビュー]

  • 《写真撮影 雪岡直樹》
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8月30日に正式に発表された2代目ホンダ『NSX タイプS(NSX Type S)』。パフォーマンスデザインがコンセプトキーワードだという。その意味をデザイナーに聞いた。

インタビューに応じてくれたのは、ホンダ技術研究所 デザインセンター 原大氏。過去にはシビックタイプRのデザインも担当したことのある原氏だ。「ガンダム」とも呼ばれたシビックタイプRは、NSX タイプSとはかなりデザインの方向性が違う。どんなこだわりがあったのだろうか。

◆アフターパーツに取り替えただけような車にはしたくなかった

—-:タイプSはベースモデルと比べて、フロントとリアが大きく変わっています。ここまで変えてくるとは思わなかったのですが、この形のデザインが先にあったのでしょうか。

原大氏(以下敬称略):いえ、むしろ逆です。タイプSでは、スーパースポーツNSXの集大成としてのパフォーマンスアップが大前提としてありました。システム総出力610psという性能を誰でも楽しめるスポーツカーとして作り上げる。このためには、どこをどう変えなければならないか、どこは変えるべきではないか、(デザイナーとして)変えたりところを突き詰めるというアプローチです。最初にパフォーマンスが提示され、それを実現するために必要なことを行った結果です。

—-:デザインをする上でこだわったところはありますか。

原:ベース車があってパフォーマンスを追求していくのは、ある意味改造車のアプローチに近いかもしれません。しかし、タイプSは、アフターパーツのバンパーに取り替えただけような車にはしたくなかったので、そういう違和感をなくすように、という点は特にこだわりました。

1台の車としての全体の完成度をどうあげていくか。変わったところだけ悪目立ちしないように。かといってまとまりすぎると、ベースモデルのただの色違い、オプション違いのようになってしまいます。

たとえば、フロントのホンダエンブレムの大きさ、位置が変わっているのですが、ベースデザインのフードのラインをどう生かすか。この位置やフロントの形状は、クレイモデルを0.01mmのオーダーで削っていきました。ヘッドライトの形状そのものは変えてないですが、輪郭部分に隈取のような黒い部分が追加されています。デザインが変わっても違和感がないようにする工夫です。

—-:全体のデザインを考える上で参考にしたもの、モチーフはありますか?

原:外見的な部分ではレーシングマシンはかなり参考にしました。GT3、GT500の車両は、実物を見て測定して研究しました。パフォーマンスという意味では、レーシングマシンの細部、末端処理すべてに説得力がある形状ということを勉強させてもらいました。

(デザイナーの)内面的な部分では初代のイメージコンセプトでもあったジェットファイター(戦闘機)のイメージに近づけたいという想いもありました。

◆ただの量産車ではないデザインにまとまった

—-:エクステリアデザイン担当でありながら、風洞実験にも参加していたと聞きましたが。

原:はい。風洞実験に立ち会うのは今までもありましたが、今回は関わり方が違っていました。デザインチームにはレースの空力エンジニアもいましたので、そこからアイデアをもらって、いっしょに形状を考えたりしました。いつもより空力を強く意識していましたね。

リアのディフューザーですが、よくみるとフィンの感覚が均等でなかったり、形状や角度が同じでなかったりします。空力エンジニアと風洞実験やシミュレーションデータをやりとりした結果生まれたものですが、射出成型ではなくカーボン素材ならではの形状の自由度がなければ実現できませんでした。

—-:空力といえばリアウイングは無いんですね。

原:ダウンフォースはGTウィングのようなものを付ければ稼げますが、そういう後付け部品は避けたかったので、ボディ下部のフロントからリアへの空気の流れ(負圧)で下から引っ張る力を利用しています。

基本コンセプトが「パフォーマンスデザイン」なので、エンジン・モーター、トランスミッション、サスペンションの変更がパフォーマンスアップを狙っているように、エクステリア、インテリアのデザイン変更もすべてに意味があります。これはこういう効果がある、というのをすべての変更について語れます(笑)。

—-:お話を聞くと、ワンオフの競技車両かコンプリートカーを作っているような感じですね。

原:確かに「水上スペシャル」(開発責任者:水上聡氏)と言ってもいいですね。台数が少ない(世界限定350台)こともありますが、水上LPLが欲しいもの、納得のいく車を作っていたのかもしれません。とはいっても水上は細かい指図はいっさいしませんでした。全体の調和というか一体感みたいなところに敏感で、そういう指示が多かったですね。

そこに各コンポーネントごとに職人が集まって作りあげていった感じです。チーム同士ではお互いの「領空侵犯」みたいなこともありましたが、そこは職人どうし。結果としてただの量産車ではない車にうまくまとまったと思います。