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「Arene」採用の新型 RAV4 発表、トヨタがSDV実現へ第一歩

  • 《写真提供 トヨタ自動車》
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トヨタ自動車は5月21日、新型『RAV4』のワールドプレミアを実施した。新型RAV4ではソフトウェアプラットフォームの「Arene(アリーン)」が初めて開発において採用され、SDV(Software-Defined Vehicle)の実現への第一歩となる。

Areneは、ウーブン・バイ・トヨタが開発したモビリティ向けの全く新しいソフトウェアづくりプラットフォームで、2018年から始まった取り組みだ。トヨタのミッションの一つは「悲しい交通事故をゼロにすること」であり、Areneはその実現に向けた重要な技術基盤とされる。

●ライフスタイルにフィット、成長する車
Areneの採用により、さらなる「安全・安心」や、「移動の楽しさ」を実現することで、新型RAV4は都市部の生活でもアウトドアでも、あらゆるライフスタイルにこれまで以上にフィットする相棒となることをめざす。

Areneの導入により新型RAV4では、車両がユーザーと一緒に成長していく新たな体験が可能になる。学習し進化し続けることで、次世代のToyota Safety Senseはビッグデータも活用し、より安全なドライブをサポートできると期待される。

●安全とエンタメは両輪の関係
また、安全性の向上により、エンターテインメント領域でも新たな体験の可能性が生まれる。直感的なAI音声エージェントを備えた新マルチメディアシステムは、これからのデジタルカスタマイズのキャンバスとなっていく。トヨタは「安全とエンタメは両輪の関係」と位置づけている。

トヨタのデザイン領域統括部長であるサイモン・ハンフリーズ氏は、「自動車業界の次のパラダイムシフトは、ハードだけではなくデジタルで起こっている」と述べ、トヨタのSDVへの挑戦がRAV4から始まることを強調した。

●ソフトウェアの開発と活用を向上させるプラットフォーム
ウーブン・バイ・トヨタの役割は、車を知能化するソフトウェアの開発と、人・車・社会をつなげるさまざまな実証実験を行なうモビリティのためのテストコース「Woven City(ウーブン・シティ)」を通じて、トヨタモビリティコンセプトの実現をめざす。

その中核となるのが、クルマの知能化を加速し、ソフトウェアの開発と活用を向上させるプラットフォームであり、車載OSでもあるAreneだ。Areneは、新型RAV4に搭載されて初めて実用化され、2026年には次世代BEVへの搭載を計画している。

Areneは、トヨタが築き上げてきた卓越したハードウェアと同様に、トヨタ生産方式の原則を自動車のソフトウェア開発に適用し、品質・信頼性・性能を向上させるもの。様々なモデルにおけるソフトウェアの再利用性を高め、開発の主な部分を自動化して効率化を図る。Areneとハードウェアプラットフォームとを組み合わせることで、新型車開発のスピードアップとコスト低減、より安全かつパーソナライズされた体験の提供が期待できる。

●ハードウェアとソフトウェア開発を切り離す
Areneは「Arene SDK」、「Arene Tools」、「Arene Data」の3要素からなるソフトウェアづくりプラットフォームだ。

SDK(ソフトウェア開発キット)は、ソフトウェアの構成部品をモジュール化した開発キットだ。ハードウェアとソフトウェア開発を切り離し、開発基盤を共通化する。これにより、開発されたソフトウェアの複数車両への展開が可能になる。

Toolsは、開発したソフトウェアを仮想環境で検証・評価する機能だ。従来よりも早い段階で機能を作りこみ、開発スピードの向上が期待される。

そしてDataは、走行データを安全に収集・分析するデータ基盤だ。今後の自動運転や先進運転支援システムなどの機能向上に活用できる。

従来のソフトウェア開発は、自動車1車種の機能ごとに開発している。。新型RAV4の開発ではAreneの導入により、「先進運転支援」、「コクピット」、「ボディ」、「パワートレイン」といった“ドメイン”ごとの開発が進められた。将来はドメインを超えて開発基盤を統合し、Areneによる中央集約型のソフトウェア開発体制をめざす。