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ルノー&プジョーも参戦!2020年のBセグコンパクトは『ヤリス』と『フィット』だけじゃない

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  • 《撮影 小林岳夫》
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  • 《撮影 中野英幸》
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◆Bセグメント・コンパクトが熱い!

トヨタ『ヤリス』とホンダ新型『フィット』が相次いで登場し、ここへ来てBセグコンパクトが盛り上がっている。数週間前、ショー自体はコロナ禍で中止の憂き目を見たとはいえ、毎年ジュネーブで発表される欧州COTYに選出されたのはプジョー『208』、つまり欧州Bセグコンパクトの売れ筋モデルだ。

昨年後半からはライバルのルノー『ルーテシア』(現地名『クリオ』)も5世代目が投入されており、日本と同じく欧州もBセグコンパクトが熱いことになっているのだ。

じつは欧州の北半分ではVWゴルフのようなCセグが最大ボリュームだが、フランス以南の欧州では、昔も今もスタンダードな売れ筋はBセグコンパクト。ベルギー国境に近い北仏ヴァランシエンヌ工場を、トヨタは初代ヤリス(日本名『ヴィッツ』)の頃から現地の生産拠点としている。コロナ騒動で遅れる可能性はあるが、4代目となる新型ヤリスも今夏よりヴァランシエンヌで生産開始予定だ。

一方、ホンダの新型フィットだが、これまで海外では「ジャズ」という別名で展開してきたものの、英国の生産拠点スウィンドン工場はブレグジットを鑑みて2021年に閉鎖が決定。そこで2020年に欧州デビューする4代目は日本から輸出されるが、輸送コストを吸収するためだろう、欧州市場ではハイブリッドのみの展開となる。

じつは導入フェイズのパワートレインはハイブリッドのみという戦略は、現地生産のトヨタ ヤリスも同じだ。しばらく旧モデルも併売されるが、CO2排出減圧力の強い欧州市場で、日本車のハイブリッド・コンパクトがどこまで伸びるか? もちろん返す刀で、今年後半に日本市場に上陸する欧州Bセグコンパクトの実力も気になる。

◆ハイブリッドを投入するルノー『ルーテシア』

日本のハイブリッド・コンパクトに対抗してフランス勢も、ルノーはクリオに「E-Tech」というシリーズ・パラレル式のハイブリッドを設定している。これは4気筒1.6リットル自然吸気エンジンに、ハイテンション・スターターモーターと駆動モーターの2基、そして1.2kWhのリチウムバッテリーを組み合わせたシステムだ。エンジンもモーターも前車軸を駆動し、合計出力は140ps、システム全体の重量はディーゼルエンジン比で+10kg程度に収まっている。

ひとまずシステム全体でのアウトプットでは、91psの3気筒1.5リットルにリアモーター5.3psとフロントモーター80psが組み合わされるヤリス、そして98psの4気筒1.5リットルに109psのモーターを組み合わせるフィットと、互角とみていいだろう。

クリオ E-Techの駆動伝達はCVTではなく、エンジンとモーターそれぞれの動力を切り替えるシンクロナイザーが介在する。100%EVモード走行時は駆動モーターが直結で、航続レンジは4、5km程度だが、それより先はエンジン駆動で、スターターモーターのアシストも適宜加わりつつ、速度域に合わせて超ローギアから通常のオーバードライブまで4相のギア比でカバーする。

ルノーによれば、開発には日産や三菱とのアライアンスで得られたコンポーネントを用いつつも、システム自体は独自開発で、とくに回生&放出フェイズにルノーF1やフォーミュラEのノウハウが投入したと強調する。構成要素的には、ホンダのハイブリッドに似ているだろう。日本での「ルーテシア E-Tech」の実現可能性は未知数だが、ハイブリッド・モデルの競争が激しい日本市場へ導入する意義は小さくないので、ルノーの本気に期待したいところだ。

◆EVで対抗するプジョー『208』

もう一方のフレンチ・コンパクトの雄、プジョー208はハイブリッドこそ用意しないが、50kWhのリチウムイオンバッテリーを積むEVで対抗する。100kW(136ps)ジャストの電気モーター出力で、WLTCモードによる航続レンジは340kmを謳う『e208』だ。

EV版はフロントグリルやライオンのロゴなど、さりげなく薄いブルーやボディ同色のあしらいが加わるが、ガソリンやディーゼルと同じFFレイアウトの5ドア・ボディで、EV/1.2リットルターボのガソリン/1.5リットルディーゼルの3種類から、ユーザー各自がもっとも適した208を選べばいい、という並べ方だ。

日本市場にディーゼルは来ないだろうが、『ホンダe』やルノー『ゾエ』という別モデル・別ボディでBセグのEVを仕立てたホンダやルノーとは、プジョーは大きく異なる戦略をとったといえる。

◆欧州コンパクトをベンチマークとしてきた

ヤリス、フィットとも、歴代モデルからして欧州コンパクトはつねにベンチマーク対象で、長年のフィードバックを重ねて開発されてきたことは疑いない。ラリーベースとなる『GRヤリス』投入やアスリートを意識した外観デザインなど、存在理由としてのパフォーマンス志向や走りの熱さを、ヤリスは隠そうとしない。この辺りは動的質感やハンドリングを重視する欧州テイストの反映といえるし、それこそ4世代にわたって染み込んだヤリスのDNAだ。

F1で名を馳せた時代を知る者には、柴犬のような従順さとプレーンなデザインを採用したホンダ・フィットは、随分と大人しめのコンパクトカーに見える。だがルーミーで居心地のいい室内や、走行性能を含め、素にして上質な感覚を軸とした商品コンセプトは、フランス車的といえる。

ちなみにフランスの自動車評論には「ラ・ヴィ・ア・ボール(車上生活の質の高さ)」という独自の評価軸があって、視界が広さやヌケとか、後席と会話が交わしやすいかといった、車内の空気感のような、スペック化しづらい基本性能が問われるのだが、新しいフィットはそこにピタリと焦点が合っている。ようは首尾一貫したテイストがあるのだ。

◆和製Bセグと欧州Bセグを分かつのは

日本市場でヤリスやフィットの価格面での優勢は見えているが、じつは欧州市場でも日本のハイブリッドの方が少しだけ安い。フィットもヤリスも現地価格で250万~310万円の価格帯であるのに対し、ルノー・クリオのE-Techは約270万~340万円で、プジョーのe208に至ってはエントリー価格で約385万円。日本に比べて随分と高く見えるホンダ・フィットやトヨタ・ヤリスの価格も、十分に競争力があることがうかがえる。

ただし和製Bセグコンパクトと、欧州の最新Bセグのそれを分かつのは、サイズや余裕やゆとり感へのアプローチといえる。端的にいえば、今や全長4mオーバーで当たり前の欧州勢 vs 4m以内に収めたパッケージングで原点回帰を図った日本勢、なのだ。

ヤリスの全長3940×全幅1695×全高1500mm、ホイールベース2550mmに対し、本国スペックながら、クリオ(ルーテシア)は4062×1732×1448mmに、2583mmのロングホイールベース。208は4055×1745×1430mmで、ホイールベースは少し短い2540mm。つまりフレンチの方が、ロー&ワイドであることは確かだ。

◆最新Bセグコンパクトは変化し始めている

またインテリアの質感は日仏4モデルともおしなべてハイレベルだが、雰囲気は相当に異なる。まずデザイン家具のようで、エリック・サティの音楽でも似合いそうなのがホンダ・フィット。ダッシュボードが前方視界に向かってなだからに傾斜し、視界よさと広がりを強調している。

ヤリスのダッシュボードも、ツートン仕立てで前方への広がりを強調した意匠である点はフィットと同じだが、スポーティな外観に比して「コクピット」になり切れていないようにも見える。

そこはクリオも似ていて、スポーティな横一文字のアクセントラインや、運転席側にチルトした縦長のタッチスクリーンこそドライバーズカーらしい演出だが、ダッシュボード全体のなだらかなカーブは落ち着いた印象を与える。

逆にふり切れているのは208のインテリアだ。乗員を包み込むようにラウンドしつつも切り立ったダッシュボードは、往年のスポーツカーのよう。カーボン風型押しのソフトフォームや、クロームのインサート使いも高級感があって巧いし、3D表示を採用したフル液晶のメーターパネルも近未来的だ。

とはいえヤリスが備えてきた、座面が回転して乗り降りしやすいとか、電動パワーシートではないのにドライビングポジションを記憶させられるドライバーズシートのような、日常的に貢献する実用性は、以前なら欧州車の十八番だった。

いわば強いキャラクターや動的質感で勝負する欧州勢と、昔ながらの生真面目なパッケージングや実用アイデアで勝負する日本製、という構図が、次世代の最新Bセグコンパクトでは少しづつ変化し始めている。ヤリスにも欧州風味があるし、ルーテシアにも日本風味があるのだ。

実車を見て触って比べて確認すべき、そんな変化だからこそ、Bセグコンパクトの役者が日本で勢ぞろいする日を心待ちにされたし。