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ダイハツのデコトラ『大発命』開発のねらいは? トラック愛あふれる開発者の細かすぎるこだわり…東京オートサロン2026
ダイハツは“世代を超えて、人の輪を繋いで笑顔に。暮らしをおもろく、お客様を元気にしたい”との想いを込めたカスタムコンセプト『ハイゼット トラック PTO ダンプ 大発命(ダイハツメイ)』を東京オートサロン2026に出展した。ハイゼットトラックの特装車であるPTOダンプをベースに、往年の“デコトラ”風に仕上げた一台は、会場で注目を集めた。
◆見る人に笑顔を
「見る方が笑顔になって欲しいと思い企画製作しました」と話すのは、東京オートサロンをはじめ様々なショーカーを手掛けて来たダイハツ工業の米山知良さんだ。
デコトラ=アートトラックの雰囲気を再現しつつ軽自動車の寸法内で製作。外突部分も、ステンレスの角にモールを回すことでアールを付け、安全面にも配慮されている。また、「トラック好きが見ても納得できるバイザーやシートデッキキャリア、鱗ステンレスなどディテールやパーツにもこだわりました」。
内装はオリジナルの金華山生地や、ナイアガラを実現。荷台にはエンタメとして子供達が喜ぶ「輪投げ」要素も盛り込んだ。絵や文字もダイハツの歴史などが散りばめてあり、「その言葉ひとつひとつにも意味を持たせています」と米山さんは説明する。
◆池田と中津へのリスペクトも
フロントバイザーには、ダイハツのスローガンである“お客様に寄り添い、暮らしを豊かに”、ヘッドマークには車名の「大発命(ダイハツメイ)」を入れた。下の行灯(あんどん)には池田と中津と書いてあるが、「大阪の池田市とこのトラックを作っている大分の中津市をリスペクトしています」と米山さん。行灯に描かれた花の模様は、「池田市の五月つつじと、中津市の菊というそれぞれの市の花をモチーフに柄を作りました」。
室内に目を向けると、「金華山のパターンで歴代ハイゼットと池田市と中津市の花、そして池田市のマスコット、ウォンバットも小さく入れて作ってもらいました」とのこと。因みにこのデザインなどはダイハツくるま開発本部デザイン部プロダクトクリエイト室CMFグループの秦麻衣香さんが担当。秦さんは「ジャパンモビリティショー2025」で『K-VISION』のCMFを担当した方でもある。
また、シャンデリアとともにナイアガラは本来もっと大きく長いものだったが、「ハイゼットのロールーフで実現したのがポイントです」とのことだった。
◆“デコトラ”らしさとオリジナリティの表現
さらにキャビン上のシートデッキキャリア(ルーフ部分)にはダイハツマークが入り、鱗ベースにパイロットランプを配しDマークが光るように仕掛けられた。
アートトラックのこだわりはサイドバンパーにもある。大型トラックであれば大型のガソリンタンクが設置されるが、ハイゼットの場合はバッテリーなどが置かれるため、「これを実現するためにバッテリーなどを移植し、このサイドバンパーが前から後ろまで通るようにしています。まさにアートトラックの流儀に沿うようにクルマ側を加工しました」とのこと。
荷台の梯子も実現するために鳥居の部分(荷台の一番前側の部分)も通常は台形になっているものを真っ直ぐにし、鳥居に登れるようにDマークの入った梯子を取り付けた。さらに鳥居の前後に絵も入れたかったことからできるだけ真っ直ぐに作り直したそうだ。
サイド部分のあおりには“DAIHATSU EMOISHI CHOOOU OMOROIDE(ダイハツエモいし超おもろいで)”と書かれ、その頭文字を繋げると”デコ(DECO)”になるジョークも込めた。荷台にも“なかなか積める イケイケダイハツ車”とあり、中津と池田がここでも掛け合わされていた。この荷台は歴代ハイゼットが描かれた輪投げになっており、入ると点滅する仕掛けだ。その荷台にはハイゼットの前身、『ミゼット』と人が描かれており、同じように10連テールランプにも複数の人が描かれている。これはこのクルマの開発に携わった人たちで、ミゼットの助手席に座るのは米山さん本人だ。
このように見る人皆が笑顔になれる、くすっと笑える仕掛けがふんだんに施されていた。
◆昭和の温かさを令和に
なぜこのような企画が持ち上がったのか。米山さんは、「小学生の頃からアートトラックに興味があり、見かけたらパーキングで声をかけて質問したり、ショップを巡ってパーツを買ったりしていました」という。そしてこのクルマを見て、「皆さんが元気になってくれたら嬉しいのはもちろんですが、ドライバー不足は今、社会的にも深刻な問題だと感じています。トラックを自分仕様に仕立てることで、仕事への誇りが生まれ、離職防止にもつながると思います」と現在の社会問題にも言及。
また、「クルマが目立つことから、パーキングでトラックドライバー同士の会話が生まれ、情報交換や、助け合うきっかけにもなる、コミュニケーションツールとしての役割も果たしています」とアートトラックの意義を語る。
そして今回は、「製作も若いメンバーと一緒にショップを周ったり、映画や展示会を観たりしてヒントを得てイラストやCMFを仕上げていきました。仕事への誇り、アナログな人と人とのつながり。そんな今では少なくなった昭和の温かさを、令和ならではの解釈でダイハツらしく表現してみました」とこのクルマに込めた思いを語った。












