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ブガッティの「火球」、『ボリード』生産終了…W16エンジンの歴史に幕
ブガッティは、サーキット専用ハイパーカー『ボリード』(火球の意味)の最終モデルとなる40台目の生産を完了したと発表した。
これはブガッティにとって重要な節目となり、W16エンジン時代の終焉を象徴するマイルストーンとなった。
フランス・モルスハイムの「アトリエ」で完成した最終モデルは、1909年以来ブガッティを定義してきた卓越性への揺るぎないコミットメントを示す旅の集大成となるという。
2021年8月、ボリードのプロジェクトは始動した。コンセプトカーを市販モデルへと昇華させるという複雑なミッションが課せられた。このサーキット専用ハイパーカーは、ブガッティの名を冠するすべての車両に求められる品質と職人技を体現する必要があった。
2021年8月から2022年にかけて、プロジェクトの開発はブガッティらしい徹底性をもって進められた。チームはボリードのあらゆる技術的側面がブガッティの厳格な基準を満たすことに集中した。
デザインは2022年に確定し、エンジニアリングは2023年初頭に完了した。何千時間もの工学的分析、美的洗練、細部への綿密な配慮を経て、ビジョンは結晶化した。
2023年のル・マンは、重要な試験場となった。ブガッティチームは、伝説的なサーキットの100周年記念に、1930年代のル・マン優勝車へのオマージュを込めたカラフルな塗装を纏ったボリードで臨んだ。
結果は期待を上回るものとなり、ブガッティ公式テストドライバーのアンディ・ウォレスがストレートで350km/hを記録した。
2023年夏から2024年初頭にかけて、ボリードは集中的な開発フェーズを継続した。この期間、エンジニアらは早朝から深夜まで毎日作業を続けた。ダウンタイムは時間単位ではなく分単位で測定されるほど、綿密にスケジュールが計画された。
毎晩、チームは詳細なデブリーフィングを実施し、その日の活動を計画と照らし合わせて評価した。夜通し、翌日のテストに向けて車両を準備し、朝にはサーキットが開く瞬間に備えて最終準備を完了させた。
このプロジェクトを通じて、一つの原則が貫かれた。それは、パフォーマンスだけではブガッティを定義できないという理解だ。最高のパフォーマンスと優雅さ、洗練性を融合させることへのこだわりは、モルスハイムを離れるすべてのブガッティを定義する特性という。
ブガッティにとって、生産品質がボリードの並外れたパフォーマンス目標と一致することが不可欠だった。サーキット専用パフォーマンスカーを真のブガッティに変えることは、エンジニア、サプライヤー、生産チームにとって大きな挑戦となった。
ブガッティの顧客は単なるスピードではなく、完璧な品質を期待する。最初のドライブだけでなく、生涯にわたって卓越性を提供する車両を求めているのだ。
最後のボリードは、この物語の中で特に意味深い章を表している。献身的なコレクターであり、ブランドの長年の友人である顧客によって発注されたこの最終モデルは、オーナー自身が所有する「タイプ35」からインスピレーションを得ている。
過去と現在のつながりは、慎重に選ばれたカラーを通じて表現されている。何世代にもわたってブガッティのレース史の一部だった鮮やかなブルーの色調を称えるものだ。このカラーパレットは顧客にとって非常に重要な意味を持ち、彼は自身の『ヴェイロン グランスポーツ』(これも最終生産モデル)にも同じカラーを指定した。最後のボリードは、数十年にわたる三部作を完成させるものとなった。
ブラックブルーとスペシャルブルーリヨネの外装ディテール、レイクブルーのアルカンターラをインテリア全体に配した特別仕様で仕上げられたこの最終ボリードは、コレクターとブランドの関係を反映している。車両側面のフランス国旗からライトブルースポーツのインテリアステッチまで、各要素はモータースポーツへの個人的な情熱とブガッティのレーシングヘリテージの両方を物語っている。
顧客がモルスハイムに到着し最終ボリードを受け取った際、このマイルストーンを祝った。真のブガッティファミリー精神で、この機会は並外れたプロジェクトの完成だけでなく、ブランドとその最も献身的なコレクターとの関係を定義する信頼と忠誠心を称えるものとなった。
限定40台のボリードは、伝統がイノベーションを導き、完璧の追求が唯一受け入れられる基準であり続けるときに何が達成できるかを示す証となっている。伝説的なタイプ35の精神を受け継ぎ、W16トラックパフォーマンスの究極の表現とエットーレ・ブガッティのレーシングエクセレンスを結びつける現代のサーキットハイパーカー、としている。












