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トヨタ、車両遠隔制御自律走行システムのセンサ配置を自動化…3Dデジタルツイン活用で実現
トヨタ自動車とアイクリスタルは10月8日、車両遠隔制御自律走行搬送システム「Telemotion」上の車両測位に用いるセンサ最適位置を、3Dデジタルツイン上で自動探索するアルゴリズムを開発したと発表した。
これにより人手によるセンサ配置検討が自動化され、当該作業者はより付加価値の高い業務に従事することが可能となった。
トヨタ自動車では、インフラセンサを用いた車両測位により、工場内で量産車を無人走行させる車両遠隔制御自律走行搬送システム「Telemotion」を開発し、2022年より実用化している。一方、工場内には設備や柱などの障害物、並びに作業者の往来があるため、センサを新しい工程へ導入する際、最適に配置するには安全性やコストといった多岐にわたるパラメータの検討が必要だった。従来の手法ではこれらを人手で組み合わせるため、工程設計段階で膨大な工数が発生していた。
本プロジェクトでは、トヨタ自動車の量産工場を忠実に再現したデジタルツイン環境を活用し、アイクリスタルが得意とする数理最適化手法によって従来人手で行っていた作業の自動化を実現させた。これにより、仮想空間内であらゆるセンサ配置パターンを網羅的に評価できるようになった。
開発した最適化アルゴリズムは、センサの最適配置を自動的に探索し、センサ台数や工事コストを最小限に抑えつつ安全性を確保する。これにより他ラインへの展開・拡張が容易となるため、今後多様化するニーズへの対応をさらに強化していく。
トヨタ自動車車両品質部主任の岩堀健人氏は「交通事故ゼロ社会の実現に向け、インフラセンサ設置に関する長年の知見を活かし、デジタル空間上でセンサ配置の最適化を可能とする独自アルゴリズムを開発した。今回、この技術を工場内に適用することで、センサ設計の自動化と迅速な対応を実現し、安全性と効率性の両立に貢献している」とコメントした。
アイクリスタル代表取締役の高石将輝氏は「アイクリスタルが注力してきたプロセスインフォマティクス技術とトヨタのプロセス開発力が融合することで、インフラセンサの配置検討の自動化というリアルな課題解決に結びついたことを非常に嬉しく思う。デジタルツイン上での最適解探索の自動化の取り組みは、単なる効率化にとどまらない大きな可能性を感じている」と述べた。