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ついに“本命”登場!「新たなフィアットの幕開け」象徴する『600ハイブリッド』、その魅力とは
ステランティスジャパンは2024年にコンパクトBEVのフィアット『600e』を導入。その際に公約していた“本命”とも言えるマイルドハイブリッド(MHEV)仕様の『600ハイブリッド』の販売をいよいよ開始した。選択肢を広げるフィアット600だが、その魅力はどこにあるのか。
◆“ビッグスマイルデザイン”とルーフライン
フィアット600のデザインはBEV、MHEVとも基本は共通で、特に「ルーフラインにこだわりがあります」と語るのはステランティスジャパンでフィアットのプロダクトマネージャーを務める名児耶孝規さんだ。
「1955年に登場した初代600のリアタイヤの前にもうひとつタイヤを描いて、その上にタイヤを3つ積み上げてみましょう。そして一番上のタイヤの中心からリアエンドまで線を引いたその角度は、新型の600で同じことをしたときの角度と全く同じになるのです。これは『ヌオーヴァ500』と現在の『500』にも受け継がれています。こうすることで、一目でフィアットのクルマだとわかるデザインに仕上がっているのです」
一方で先進的をアピールするためにドット柄のピクセルデザインをテールランプやホイールに採用。そうすることで、「ヘリテージを守りながらも、このクルマのモダンさをアピールしています」とコメント。
フロントフェイスは“ビッグスマイルデザイン”を採用。これは、「ヘッドランプを目に見立て、アンダー部分に口があるという思想のもとにデザインをしています。ここに込めた思いは、600があらゆる人々に愛されるようになってほしいということなのです」と名児耶さん。
つまり、他車との大きな差別化のひとつはこのデザインにあるといえる。
◆燃費23.2km/リットルを実現したフィアット
ハイブリッドに搭載されるエンジンは1.2リットルターボにマイルドハイブリッドを組み合わせたもの。そこに「トランスミッションの中に駆動用のモーターが入っている6速のEDCTを搭載。ベルトドライブのスタータージェネレーターも採用しています」と説明。
システムトータル出力が145ps、トルクは220Nmで、約1300kgのボディを走らせる。燃費は23.2km/リットル(WLTCモードの「La Prima」の値)で、マイルドハイブリッドでありながら電気での走行も可能だ。
そのほか385リットルのラゲッジ容量やADAS系も充実。装備もハンズフリーパワーテールゲート(La Primaのみ)も備えられており、価格はLa Primaが419万円(600台限定のローンチプライスは399万円)、受注生産のエントリーグレードが365万円からとなっている。
◆高速なら1000km走破も、MHEVの魅力
さて、この600シリーズのパワートレインをどう売り分けるのか。名児耶さんは、先ず両車共通の特徴として、「このデザインやパッケージング、6:4の可倒式リアシートなども含めたユーティリティ性の高さがありますので、一人、あるいはカップルや子供が小さい家庭などを想定しており、ベビーカーも荷室に入ります」としたうえで、「あとはライフスタイルなどで変わるでしょう」とのこと。
600eは、「街中が多くそれほど頻繁に遠出をしない方。そして面白い乗り味を持っていますので、そういう新しいものが好きな方や、ちょっと違うものに乗りたい、環境に配慮したいという方にお勧めです。補助金もあり、それを利用すると600ハイブリッドのLa Primaに少し足すと乗ることも出来ますので、そういうマインドの方には是非乗っていただきたい」と名児耶さん。
マイルドハイブリッドは、「高速だけであれば1000kmくらいは走れる航続距離を持っています」とのことなので、普段使いから長距離まで不満なく使えそうだ。名児耶さんも、「(販売では)こちらがメインになるでしょう」と認めていた。
搭載されるエンジンはそれぞれの車種によって異なるが、プジョー『308』やジープ『レネゲード』にも同様のマイルドハイブリッドが追加されていることから信頼性や実力は高そうだ。
ステランティスの主流となるこのシステムは今後導入されるであろうフィアット車にも設定される予定なので、この600ハイブリッドはフィアットブランドの新たな幕開けといっても過言ではないだろう。