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三菱製ハイブリッド搭載、新型『エクスパンダー』を公開 “買える”モーターショーで価格アピール

  • 《写真提供 三菱自動車》
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三菱自動車は第45回を迎えた「バンコク国際モーターショー」において、『エクスパンダー』と『エクスパンダークロス』のハイブリッドモデルを公開した。

エクスパンダーシリーズはSUVの力強さと走りを兼ね備えたMPV(ミニバン)。2017年にインドネシアで登場して以来、ASEANでの販売を牽引するモデルとなっている。そのエクスパンダーに、三菱のPHEV(プラグインハイブリッド)システムから派生した新開発のハイブリッドを搭載する。新開発の1.6リットルエンジンを組み合わせ、燃費を約10%改善。市街地走行で約34%、市街地と高速走行を組み合わせた燃費で約15%の低燃費を実現するという。

◆モーターショーで7万台が売れる! 三菱も価格をアピール
バンコクモーターショーはASEAN最大規模のモーターショーで、毎年3月に末に開催されている。各国のモーターショーと大きく異なるのは、このショーに合わせて各メーカーやインポーター、ディーラーが一大キャンペーンを行い、クルマの販売について低金利や保証延長など各種オファーを充実させることにある。

今回のエクスパンダー&エクスパンダークロスのハイブリッドモデル発表時(プレスカンファレンス)では、三菱自動車タイランドのセールス、アフターセールスおよびネットワーク改善部門担当上級副社長であるサロテ・マートラート氏が「金利ゼロと三菱エクストラ ケア パッケージを含む特別導入価格を91万2000バーツ(約377万円)からご用意しております」とアピールするなど、日本のモーターショーとは異なるスピーチが行われた。

バンコクモーターショーは一般公開日になると、多くのユーザーが来場し各社のブースを見て回るが、じつはお目当てのブースは絞り込まれていることが多く、バックヤードに設けられた商談スペースで積極的に商談が行われる。この日のために各社はタイ国内各所からトップセールスを招き、受け入れ体勢を整えている。2023年のデータではモーターショー期間中にショー会場で契約されたクルマは7万台にも及ぶというのだから驚きである。

一般公開日初日の午後2時くらいには三菱自動車のバックヤードも契約を急ぐお客さんと、セールススタッフで用意されていた席は満席となった盛況ぶりであった。

◆三菱ハイブリッド製造の現場を見た
今回の取材では、一部報道陣向けに生産工場も公開され、その現場を見ることができた。

エンジンモデルのエクスパンダー&エクスパンダークロスは隣国のインドネシアで最終組立を受けているが、ハイブリッド仕様はバンコク市内にほど近いチョンブリー県ラムチャバンにある三菱自動車第3工場で組立てられる。第3工場はASEANにおける電動系モデルの主力工場となる予定で、5億バーツ(約20億円)以上の投資が決まっている。エクスパンダーHEVやエクスパンダークロスHEVをはじめとして、多くのモデルが生産されていく予定となっている。

ちなみに同工場の第2工場では話題の人気モデルであるピックアップトラック『トライトン』も製造されている。

まず最初に見学したのはバッテリー関係の組立部門で、こちらは入室時にエアシャワーを浴びて入るクリーンルームだ。クリーンルーム内のスペースは意外と広く、まだまだ生産量を増やせる余裕がある。ラムチャバン工場では『アウトランダーPHEV』も製造されているが、エクスパンダーHEVやエクスパンダークロスHEVとは異なるラインである。

ライン上の品質管理から紙は消えている。タブレットや専用端末を使って必要な項目をチェックするシステムとなっていて、これは日本と同じ方式だという。どんなに熟練した作業員、検査員であってもミスはあるが、このシステムを使うことで見逃しなどを防いでいる。また、各種端末と使用する人が紐付けられる認証システムを使っているため、いわゆるハンコの貸し借りのようなことも起きないようになっているという。

ハイブリッドモデル製造の見せ場ともいえるのがバッテリーの搭載工程。アウトランダーPHEVのバッテリーはフロア下に装着されるので、ボディが持ち上げりバッテリーがせり上がるようにして組み込まれるが、エクスパンダーのハイブリッドの場合はロボットアームに吊されたバッテリーがボディの中に入り込む方式。じつに効率よく、労力を抑えた工程となっていた。

三菱のアジア戦略はジワジワと確実に前に進んでいることを感じた。