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ホンダ WR-V 新型「最後に価格を見て驚いてほしい」…開発責任者 インタビュー

  • 《写真撮影 中野英幸》
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  • 《写真撮影 中野英幸》
  • 《写真撮影 中野英幸》
  • 《写真撮影 内田俊一》
  • 《写真撮影 中野英幸》
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ホンダは新たなコンパクトSUV、『WR-V』の概要を発表。日本市場では12月正式発表の後、来年春に発売する予定だ。なぜWR-Vを開発したのか、その狙いについて開発責任者に話を聞いた。

◆どんなシーンでも楽しめるように
—-:新規企画のWR-Vですが、このクルマの開発責任者に決まった時にどのように思いましたか。

本田技研工業四輪事業本部四輪開発センターLPL室の金子宗嗣さん(以下敬称略):責任重大だなと非常に身が引き締まりましたね。ただ、新しいSUVを作るので、非常に大きなチャンスをもらったと捉え、どうせやるんだったら楽しんでやろうと思いました。

—-:どんな風に楽しみたいなと思ったのでしょう。

金子:全く新しいSUVですから、これまでにないものが出てくる過程です。デザインもそうですし、性能もそうですし。開発責任者をやっていると、営業領域、生産領域、購買領域全てを見ていきますので、そういった過程全体を楽しみたいなと思いました。

—-:ではそのときに、金子さんの中でどんなクルマを作りたいと思いましたか。

金子:WR-VはエントリーのSUVですので、割合若い方に向けたクルマです。開発時期は新型コロナの影響が大変大きく、かついつそれが終わるかもなかなか見えない状況だったんですね。ただ若い方は、基本的には外に出て遊びたいという思考を強く持っている世代だと捉えていましたので、そういった方が外に出ていろんな生活スタイル、例えばキャンプに行く、旅行に行く、日本では帰省もありますよね。そういったどんな使い方もでき、その移動の過程も楽しめるSUVにしたいと考えました。

◆ガソリン、FFのみなわけ
—-:WR-Vにはハイブリッドの設定がないとのことですが、なぜそうなったのでしょう。

金子:いくつか理由はあるんですけれども、まず一番大きかったのは価格帯で、できるだけお求めやすいものにしなければいけなかった。かつタイムリーに開発しなければいけなかったんです。

このクルマはタイにあるホンダR&Dアジアパシフィックで開発したのですが、そこでの限られた資源、限られた時間でなるべく早くお客様にお届けするということを念頭に置くと、いろんなパワートレーンを包含して大きな開発をするよりも、絞り込んだ開発の方が早く進むんですね。ですから今回はコンベンショナルなエンジンに絞りました。

同時にラインナップが簡潔になりますので、お客様から見てもわかりやすい商品になったと思います。価格とともにそういったところが非常に重要になると考えています。

—-:因みに駆動方式はどうなりますか。

金子: FFのみです。

—-:そこも絞ったわけですね。

金子:絞りました。もちろんいろんな議論がありましたし、私自身もすごく迷いました。当初から日本も含めたアジア地域に出すという企画でスタートしています。日本は雪国もありますし、そういった需要もあるというのは十分認識はしていたものの、なるべく早くお客様にお届けしたいということで思い切って設定をなしにしたのです。

—-:では市場からの要望では今後出てくるということは。

金子:いまのところ予定はありません。

◆ウリはコストパフォーマンスの良さ
—-:今回ターゲットユーザーはメインのミレニアル世代と、サブとして子離れ世代とされました。特に若い方に向けてこのクルマの一番の強みは何でしょうか。

金子:強みでいうと、この価格(200万円前半に設定予定)です。スモールSUVカテゴリーの価格帯にもかかっているんですね。他社のスモールSUVは非常に人気があって、若い方をはじめ幅広く乗ってもらえるクルマです。

そこでWR-Vの一番アピールしたいのは、価格帯がスモールでありながら、デザイン、それから大きさです。リーズナブルであるとか、コストパフォーマンスの良さ。そういったところが一番大きな訴求ポイントだと考えています。

—-:対価満足度の高さを狙ったわけですね。

金子:そうです。お客様が全く価格を見ずにこのクルマをパッと見て、まずはまさにSUVであると感じてもらう。それから居住性だとか荷室空間の大きさを体感した上で、価格を聞いたときに驚きがあると。こんなに塊感のあるSUVらしいデザインと、このパッケージというホンダならではの強みがありながらもこの価格でも買えるという、そういう驚きを提供したいというのは、開発当初から考えていたことです。

—-:先ほど開発を楽しみたいというお話が出ましたが、今回の開発で一番楽しかったことはなんでしたか。

金子:コロナ禍の中で非常に大変だったのがコミュニケーションでした。例えばリモートでやりながらということが多かったのですが、これはいままでやったことがない開発ですので、その苦労をみんなで乗り越えることができた、その瞬間瞬間が私も非常に楽しかったですね。厳しいんですよ。だけど、ひとつ越えてこれがクリアになったというそれ事態が私自身はすごく楽しかった。またひとつステップが上がったので、今度はこれやろうというステップバイステップで進んでいく、その一歩ずつを私自身は楽しみましたね。

—-:最後にこのクルマについての想いを教えてください。

金子:我々はこのクルマをインドだけではなく日本のお客様にお届けしたいという一心で、本当に魂を込めて、短期間で仕上げてきました。ぜひ直接見て体感して乗っていただきたいいですね。そして楽しんでいただきたいと思います。