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スーツケースからコンテナになる!? スズキ スペーシアコンセプト

スズキは軽スーパーハイトワゴン、『スペーシア』の次期モデルと噂される『スペーシアコンセプト』と、『スペーシアカスタムコンセプト』をジャパンモビリティショー2023に出展。早速デザイナーにそのポイントについて話を聞いた。

◆スーツケースからコンテナをモチーフに
—-：初めにクルマ全体のデザインコンセプトを教えてください。

スズキスペーシアコンセプトのCMFデザインを担当した佐藤優花さん（以下敬称略）： “ライフプロ、暮らしをもっと楽しく、自分らしく“です。このプロというのは職人のことを指すプロではなくて、毎日をもっと楽しく自分らしく過ごしたいと思う人たちで、そういった人たちを応援できるようなクルマにしていきたいとこのコンセプトになりました。

—-：現在販売しているスペーシアやカスタムよりも面質が変わっている印象です。

佐藤：はい、もともとスペーシアのデザインはスーツケースをモチーフにしていて、内外装ともそういうイメージを持っていますが、今回はもっと道具を積めたり、使い勝手も良くしたりすることで、よりストレスフリーに丈夫に使える箱をイメージして、コンテナをモチーフにしています。

コンテナの横にはプレス形状が入っていますので、そういったところをエクステリアのサイドのボディに色濃く出しています。インテリアにもビード形状がドアトリムや助手席前に入っていますので、内外全体でコーディネートしています。

—-：インパネ周りもすごく変わっていますね。

佐藤：そうなんです。今回はインテリアも横基調でよりスペーシーに広い空間を表現しています。スペーシアならではの使い勝手の良さをより向上させながら、見た目にもより心地よく広く感じられるというところはインテリアデザイナーのこだわりでした。

◆顔周りでそれぞれの個性を表現
—-：エクステアリアから伺いますが、サイドだけでなく、フロントにも結構手が入っていますね。標準車、カスタムそれぞれの特徴を教えてください。

佐藤：標準車の方は、コンテナというモチーフとともに、キーワードとしてワクワク感と心地よさをより伝わるようなデザインにしたい。カスタムの方は、上質感と華やかさというところをより表現したいと、そこをキーワードに作り分けています。

—-：そのあたりが表現できているエクステリアのポイントはどういったところでしょう。

佐藤：標準車はフロントの表情の部分として、今回ヘッドランプを新作しました。LEDを使いながらも柔らかい表情を狙っています。普通はLEDで光らせるためにヘッドランプ内部に部屋をいくつか分けるのですが、そういった使い方ではなく、メッキをお椀状に配置することで柔らかい目の表情を表現しました。

—-：グリル周りも（カスタムと）違って、すごくシンプルな感じがしますね。

佐藤：はい、シンプルで可愛らしいというところと、ワクワクに繋がる表現になっているでしょう。

そのカスタムのフロントは上質感を狙っています。現在のスペーシアはメッキを多く使うことで見た目の迫力を表現していますが、その迫力感は残しつつ、より大人っぽい雰囲気にするために大型のメッキのグリルに横基調にするようなデザインを採用しています。

加えてヘッドランプについては、クロームデリート、メッキを一切使っていない珍しいヘッドランプになっています。メッキ自体は外側に表現されているだけで、中には一切使われていないんです。またすごく薄型にすることにこだわり、今回初めてLEDの単眼レンズで作りました。結果として、より精悍な横基調の表情が作れたことで、かなり上質感を表現できたかと思います。

◆2トーンはベージュルーフを意識して
—-：では、CMFのこだわりはいかがでしょう。

佐藤：標準車ではボディカラーを2色、新しくしています。ミモザイエローパールメタリックとトーニーブラウンメタリックです。特にミモザイエローパールメタリックは、毎日を優しく彩ってくれるようなカラーを使いたい、でもスペーシアとしての楽しさや個性も表現したいということで、色相はイエローなんですけれども、彩度を落とし気味にチューニングしています。スズキにはアクティブイエローという、もっと華やかなイエローがあるんですが、そこから彩度を落とすことでより生活に馴染むようなトレンドを組み込みながら作っています。

—-：グリルやルーフのベージュがすごくマッチしていますね。

佐藤：実はルーフにベージュを使いたいというのは最初から思っていたことで、ホワイトと合わせるよりもローコントラストになって、より日常に馴染みやすくなるところを表現したかったんです。ですから、最初からこのベージュと合わせる想定でボディカラーと合わせて開発を進めました。

—-：内装に関してはいかがでしょう。

佐藤：標準車はアウトドアリビングをテーマにして空間作りをしています。マットな質感のカフェラテという色を今回採用しており、全体を横（左右方向）に通して広く感じさせつつ、外と中をつなぐような柔らかい色味から、アウトドアリビングの心地よさを表現したカラーリングです。

ポイントは、ビッグオープントレーという、オープンタイプのトレーを採用していることですが、パイル添加樹脂という、繊維が中に練り込まれている樹脂を使っています。そこにファブリック調のシボを入れることで、帆布のような本当に丈夫に使えそうな素材感を目指して表現しました。

シートもメランジ調の表皮で、より奥行きが感じられます。また、横にラインが走っているのですが、これがパッキリとしたストライプですと、ズレなどが目立つのですが、ざっくりとした横のラインになっているので左右方向の広さ感を表現しながらも、上質な雰囲気も表しています。

一方のカスタムはホテルラウンジを今回テーマに内装のカラーリングは作り込んでいます。ボルドー色を前面に効かせたようなカラーリングです。色を使うところを大きく分けていて、標準車でいうブラウンの部分をカスタムの方だと全部ボルドーというセミマットカラーで塗装しました。また、艶のあるピアノブラックと合わせることで、より雰囲気が良く、大人の空間を演出しています。

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