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パジェロの代わりになるように、三菱トライトンまもなく発売…ジャパンモビリティショー2023に展示

  • 《写真撮影 中野英幸》
  • 《写真撮影 内田千鶴子》
  • 《写真撮影 中野英幸》
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  • 《写真撮影 内田千鶴子》
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三菱自動車はジャパンモビリティショー2023に、まもなく発売される予定のピックアップトラック、『トライトン』を出展。商品担当者に導入の目的や特徴について話を聞いた。

◆パジェロなきいま
—-:いよいよ日本でもトライトンが発売されるとのことですね。まずは日本導入の目的について教えてください。

三菱商品戦略本部チーフ・プロダクト・スペシャリストの増田義樹さん(以下敬称略):目的というよりも、かねがね日本に導入したいと思っていたんです。もちろんトライトンは、見た目もそうですし、『パジェロ』の性能を引き継いだ四駆性能や、耐久・信頼性の全てにおいて三菱を代表するクルマなんです。ですのでずっと日本に入れたいと思っていました。

過去、2006年くらいからスポットで日本に導入したことがありましたが、そのときから継続販売をしてほしいというお客様の声が結構大きかったんです。しかしいろいろな理由で限定販売になってしまって私としても悔しい思いをしました。日本のお客様、ファンの方にも楽しんでいただきたいですし、そして現在パジェロはありませんから、それに変わるような存在にもしていきたいと思っています。

それからオフロードを楽しめるクルマは日本のラインナップには欠かせないと思っています。そういうことから今回、タイミングや様々な条件が揃ったことで、念願叶ってという流れになります。

—-:このトライトンですが、どういう人に乗ってもらいたいと思っていますか。

増田:よく聞かれるんですが、特にピックアップのお客様は、いろんな改造、例えばチューニングやデコレーション、アクセサリーを取り付けたり、また、使い方も荷台にサーフボードやバイクとか乗せる方もいらっしゃいますし、キャンプに行く、通勤用に使うなど様々です。ですからあえて私たちの方から、限定したお客様にというのではなく、なるべく幅広く楽しんでいただけるようなクルマ作りをしていますし、もっといろんな可能性をお客様に広げていただきたいんです。

—-:逆に提案してほしいぐらいですね。

増田:おっしゃる通りです。その提案を受けて、その提案に適うような、例えばチューニングや商品の強化ができるように我々がやり続ける。そういうクルマだと思っています。

◆コンセプトはパワーフォーアドベンチャー
—-:今回はカタログモデルとして継続販売ということですが、前回導入していたトライトンからはどのように進化しいているのでしょう。

増田:今回導入するクルマを現行とすると先々代となります。この新型トライトンの開発のコンセプトは「パワーフォーアドベンチャー」です。アドベンチャー・冒険、あるいは気持ち的にも一歩踏み出すという力を与えてくれる、もしくは気持ちがみなぎるみたいなイメージですね。そういう気持ちをこのクルマから感じてもらいたいとパワーフォーアドベンチャーとしたのです。

特にレジャーユースで使う場合、このピックアップを買うのは夢だという人が結構いると思うんです。なかなかここまで手が届かないでしょうし、あるいはいつかはこういうクルマで家族とキャンプに行ってみたいという夢があってそれを叶えてくれるような存在だと思っています。ですから実際に所有することですごく気持ちが高ぶる、あるいはさらに何かやってやろうという漲る力が出てくる。そういうコンセプトですから、そこに基づいて性能や、見た目を、そこに沿ったものにしているんです。

—-:ではクルマそのものとして先代から引き継いだ強みや、ユーザーから指摘され改良したポイントを教えてください。

増田:先代のプラットフォームは実は先々代(日本にスポット導入したクルマ)と一緒で少し幅が狭かったんです。もちろん日本ではこれでもかなり大きく感じたと思いますが、海外で見ると競合車に対してちょっと狭めでした。その時はピックアップなのに小回りが効いて軽快に走れるところを、他と差別化してウリにしていたんですね。しかし、ピックアップであったらもう少し幅は広めであってほしいとか、外から見た時のスタンス、横方向のどっしり感がちょっとナローだと弱いという指摘もあったんです。そこでまずプラットフォーム、シャシーフレームを幅を50mm、さらにホイールベースも伸ばして、全体的にパッケージや、居住空間、見た目のプロポーションをまず改良しました。同時にフロントマスク、顔も押し出し感をかなり強めてデザインしたということがあります。

このようにプラットフォームを2世代ぶりに刷新しました。これから10年、あるいはもしかしたら20年くらい使っていくものなので、かなり先を見通して性能を仕上げています。ねじり剛性や曲げ剛性が動的性能、ドライビングパフォーマンスのほとんどを決める要素なんですが、ここを40%から60%アップさせています。

さらに衝突安全性も次世代くらいまでカバーできることを考えて開発しています。それに伴ってサスペンションストロークをしっかり伸ばすとともに、パネ下の軽量化など全部やりました。ですから板バネなのに操縦安定性や乗り心地がものすごい良くて、板バネ感は全然ないんですよ。結構バンピーな路面を空荷状態で乗っても衝撃吸収には優れていますので、ここはかなり大きく改良したところです。

そしてこれまでの強みを伸ばした点ですが、まずは三菱ですから四駆技術、パジェロから引き継いでいるスーパーセレクト4WDIIがあります。これは4Hモードにしてもセンターデフが作動してタイトコーナーブレーキング現象がでないという三菱特有の技術ですが、それを踏襲しています。さらに、路面によって切り替えるドライブモード、テレインモードを今までの4つから7つのモードに増やすことで、よりきめ細かくトラクションコントロールによってスリップをさせずに、きちんとぬかるみでも、スノーでも氷上でもしっかりとタイヤがグリップしてくれるように設定しています。

もうひとつ、AYC(アクティブヨーコントロール)を搭載しました。ブレーキ制御などでコーナリング時に内側のブレーキをかけることでヨーをスムーズに出せるようにする機能で、これは『ランサーエボリューション』で培った技術です。それをこのピックアップにも入れました。低ミュー路で普通にアンダーが出るところでもステアリングを切った分だけしっかりと回りますからすぐに体感していただけるでしょう。

—-:かなり走りの面に力が入っているようですね。

増田:そうです。ピックアップは8年から10年ライフで、途中の4年目から5年目でかなり大きな変更が入るのですが、ベースとなるシャシーとプラットフォーム関係はそのままですから、このフルモデルチェンジの時に相当ステップアップする必要があるんです。そこで今回もシャシー、サスペンション、内装の質感などは、当然他社でもあげて来ますから、それに負けないくらいにしています。コネクテッドやADASなども含めて2段,3段はステップアップさせています。

◆ピックアップ市場ど真ん中に
—-:今回のモデルチェンジで増田さんが一番やりたかったことは何ですか。

増田:このクルマの開発は2017年くらいから始めているんです。実は私は4代くらい前からこのピックアップを担当していまして、当時はまだプライベートユースだとか乗用ユースという概念がピックアップになかった頃です。その後徐々にそういうお客様が増えてきて、ピックアップの中でも快適性とか小回り、軽便さで差別化することをやったのが先代と先々代だったんです。それは成功でそういったお客様もいらっしゃいましたから。

そして今回勝負に出たのは迫力のある顔で、しっかりとしたスタンス、そして大きさです。まさにピックアップのど真ん中で競合車と勝負することをまず初めにやってみたかったんです。もちろんリスクは伴うんですが、ここで一気に勝負をかけて、三菱、あるいはトライトンのプレゼンスを世の中に、あるいは日本に伝えたいというのがありました。

—-:ピックアップ市場ど真ん中で勝負に出るということは、競合に対してより強みを発揮しなければなりません。そこは何なのでしょう。

増田:まずは先ほどもお話した安全性で、競合車よりも先に行っています。例えば一番世界で最も厳しいといわれているオーストラリアやヨーロッパのN-CAPの最高水準まで獲得できるレベルです。それ以外にも、耐久性、信頼性も高いですから、少々の悪路であっても普通に走れて、自然災害があっても耐えられるものに仕上がっています。こういったことを一度経験するとこの能力は一生忘れませんし、そこから絶対にファンになってくれます。そういったことも含んだ安全性ですね。

◆力持ちで優しくて
—-:ではこのトライトンのエクステリアの特徴を教えてください。

増田:まずスタイリングでいくと、この強い押し出し感のあるフロントフェイスが特緒的です。このライトも特徴的にTシェイプになってまして、このLEDもパッと見た時に印象的なライティングですから、あ、トライトンが来たんだなという記憶につながりますので、このあたりはこだわりました。

あとはダイナミックシールドコンセプトの進化系として、このトライトンではここ(ヘッドライト周りの黒いガード)で表現しています。こういったことも含めて先代はシュッとしたハンサムな感じだったものから、迫力のある顔付きになりました。

ただし、威圧感はあまり与えないようにしています。見た目も中身も強いクルマを作るんですけど、私がコンセプトとしてチームにいったのが、外観の見た目は筋肉質で力持ちなんですけど、やっぱりハートがあって優しさが備わっているということです。使い勝手の配慮をした内装もそうです。力強くてごついステアリングですが、触ってみると使いやすいとか。フロントマスクもそういう感じにしています。

それから実用性にも関わるんですが、サイドステップの使いやすさと見た目も重視しています。まず、泥とか凍った雪みたいなのが付着しますから、しっかりと滑りにくくて水はけがよく、しっかりと使えるような形状と見た目にしています。

そして、ドアグリップの太さと大きさもこだわりました。当然、軽自動車みたいなドアハンドルですと頼りないですし、工事現場とかで使われるお客様の場合は、すごく大きな手に手袋をして掴むので、しっかりとしたスペース(ドアとドアハンドルの空間)も必要です。日本の小柄な方ですとちょっと大きすぎるぐらいなんですが、しっかりとトラックという感じを表しているでしょう。

また、リアテールランプもTシェイプをあしらっており、その縦方向のシグネチャーが左右の端にありますから、ボディのワイド感やスタンスの良さを感じてもらえます。

—-:インテリアはいかがですか。

増田:まずAピラーを今回立てました。前は寝ていたんですが、ドアの開口を広く取って乗り降りがしやすくするために立てました。そしてシートポジションはヒップポイントを20mm高くして、なるべくアイポイントを高めにして見渡せるように、見切りが見やすいようにしています。

またメーター内は7インチ液晶ディスプレイが入り、ここにいろいろなインフォメーションが出る構造にして、新ステアリングホイールも採用しています。太さや断面もだいぶ作り込んでいます。センターディスプレイは9インチでスマートフォン連携コネクティビティとワイヤレス充電もあります。

—-:最後に、このクルマで語っておきたいことがあれば教えてください。

増田:本当に気合いを入れて作りましたので、様々なお客様に楽しんでいただきたいと思っていますので、これから頑張ってアピールしていきますので、ご期待ください。