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N-VANをEVにコンバート、交換式バッテリーで約75km航続可能…スマートグリッドEXPO 2023

  • 《写真撮影 宮崎壮人》
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ホンダが2輪車や3輪車を電動化するため開発した、交換式のリチウムイオンバッテリーである「ホンダモバイルパワーパックe:」を活用した様々な試作品が、国際スマートグリッドEXPO 2023で公開された。

ブースには、『N-VAN』を基にしたコンバートEVや、電動耕運機、ジャイロキャノピー、電動カート、家庭電化製品の電源となるパワーポッドなどが展示された。ほかにもホンダモバイルパワーパックe:を活用した他社の試作品、ヤマハの「モータープラットフォームコンセプト」や建設機械メーカーの小型ショベルやロードローラー、また農業用の自動収穫機なども並べられた。小型の建設機械は、住宅地などでの静かな作業に適しているだろうし、農業の自動収穫期はハウス栽培など屋内での作業でも排出ガスを出さないので利用しやすいはずだ。

◆広がるEVの可能性、他車種への展開も
N‐VANを基にしたコンバートEVは、モバイルパワーパックe:を8本床下に車載することで、約75kmの走行距離を実現するという。市販EVでは数百kmの一充電走行距離が期待されており、軽EVとして市販されている日産『サクラ』と三菱『eKクロスEV』は180kmがカタログ値だ。それからすると、N‐VANのコンバートEV試作車は半分以下の走行距離になる。だが、軽商用バンとして配送などを中心に利用する場面を考えれば、実用領域に入る走行性能と言える。もし一日の配送で走行距離が足りないときは、ホンダモバイルパワーパックe:が交換式であるため、わずかな時間で満充電されたバッテリーパックと入れ替えられ、そうすれば再び約75km走行できる。合計で150km走れれば一日の配送業務をほぼ満たすだろう。

EVを導入したくても、配送事業所の形態によっては充電設備を設けにくい場合があるかもしれない。交換用のバッテリーパックを充電できる場所が確保できれば、EVへの直接充電以外の手段として実用化が可能な場面もあるだろう。

コンバートEVとは、エンジン車から、エンジンや変速機(変速機はそのまま流用する場合がある)、燃料タンクなどを外し、替わりにモーター、制御系、駆動用バッテリーを車載した改造EVをいう。この手法であれば、既存の市販EVの車種に限定せず、様々なクルマを電動化することができる。ホンダも、N‐VANに限定した商用のみを想定しているわけではなく、『N‐ONE』など乗用車のコンバートEVも可能ではないかと考えている。

また、モバイルパワーパックe:の活用だけでなく、モーターや制御系もホンダが開発することも可能であるし、逆に他社のモーターや制御系を使いながら、モバイルパワーパックe:を電源として活用するといった柔軟性も視野に入れているという。

要は、あらゆるクルマをEV化する一つの方法として、このコンバートEVであれば、現在日本で課題となっているマンションなど集合住宅で200Vの普通充電による基礎充電ができにくい状況でも、バッテリーパックの交換ができる場所さえあれば、好みの車種をコンバートしてEVライフを送れることになる。

◆コンバートEVは車検が課題
コンバートEVについては、30年ほど前から日本EVクラブが活動し会員自ら製作したさまざまな車種がある。ただし現在は、コンバートEVの改造車検がなかなか取得できず、ナンバーをつけて公道を走行しにくい状況がある。改造申請の難しさに加え、それを突破するためにある一定の費用が掛かることも課題だ。

そこはホンダが取り組むN‐VANなどのコンバートEVも同様で、これを解決しなければ、せっかくのモバイルパワーパックe:活用案も、実用として活きなくなる。

たとえば新車装着する純正部品の開発や、チューニングを行っているホンダアクセスやM‐TEC(無限)などと連携し、改造した車両の車検を達成するという方法もあるかもしれない。この仕事がホンダアクセスやM‐TECを通じて実現すれば、EVコンバートが新たな事業展開につながるのではないか。両社は、永年にわたりホンダが発売する新車をより個性的にするカスタマイズをしてきた経験を持つからだ。

当初は、2輪や3輪車の電動化が目的であったかもしれない。だが、モバイルパワーパックe:があることで、あらゆる移動手段の電動化が広がりそうだ。

そのためにも、単にEV(電気車両)としての選択肢が増えるだけでなく、モバイルパワーパックe:の交換拠点の拡充も不可欠だ。たとえばガソリンスタンドの一角という例も考えられるだけでなく、いまや全国のランドマークとなっているコンビニエンスストアの駐車場の一角に交換場所を設置できれば、バッテリー交換をどこでも気軽にすることができるようになるのではないか。それは他業種にとっても新しい事業展開になる。

EVはそのように、単に脱二酸化炭素であるだけでなく、新たな活用法や新たな事業の創出につながるのである。