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サンデーレースを想定、コペンとハイゼットを改造…デザイナー[インタビュー]

  • 《写真撮影 内田俊一》
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ダイハツは東京オートサロン2023に“DAIHATSU VILLAGE2023 夢ふくらむ、はじけるダイハツ”をテーマにダイハツ『コペンクラブスポーツ』と『ハイゼットジャンボエクステンド』を出展。この2台はサンデーレースというコンセプトで作成された。

◆サンデーレーサーとサポートカー
—:ダイハツとして走る楽しさを訴求したいということでこの2台をペアで提案されました。まずはどんなイメージで考えていったのでしょう。

ダイハツくるま開発デザイン部第2デザインクリエイト室CMFグループの里舘ひなのさん(以下敬称略):ダイハツのラインナップの中で、走る楽しさを目指しもっとも表現しているクルマがコペンです。それをベースに日曜日に清々しく走るようなイメージをさせたいという思いで仕上げました。

そのカラーのコンセプトですが、まずはストライプが特徴的です。これはダイハツのコーポレートカラーをイメージしたもの。そしてメインのボディーカラーは、最近スポーツカーに見られるようなグレーですが、そこにニュアンスがあるようなカラーにしました。そこで都会らしさや機械っぽさとともに先進感を演出しています。

そして、同じ考え方でハイゼットもデザインしています。こちらはモーターホームとしてコペンの横にいるようなイメージです。

このクルマの1番の訴求ポイントは、荷室が後ろに伸びる演出なんですけれど、そうすると彩度の高いカラーリングが出てくるというような楽しさも表現しています。また、室内は赤ですが過ごしていただく空間なので、彩度を抑えています。

◆グレーと赤のコーディネート
—:ではコペンクラブスポーツについて教えてください。このクルマにはモチーフになったクルマがあると伺っています。

ダイハツデザイン部第1デザインクリエイト室課長の芝垣登志男さん(以下敬称略):サンデーレーサーとしてコペンとハイゼットの2台を演出しているんですが、コペンクラブスポーツは2021年の東京オートサロンに出展した、『コペン スパイダーVer.』に影響を受けたお客様が、これなら自分もできるかもと思って再現したモデルを想定しています。ですから憧れ仕様みたいな感じですね。

カラーもレースでゴリゴリ走ってるイメージも欲しかったので、F15戦闘機みたいな機能的である一方、スカッとしたような色を調色してもらいました。そもそもクルマの歴史をたどっていくと飛行機由来のところもありますので、我々としてはリンクしていると思っています。

—:マットカラーではないところも良いですね。

芝垣:それも考えたのですが、映えないなと思ってやめました。普通の色の流用でもいいのではという車内の声もありましたが、里館が絶対この色をやりたいとこだわった結果です。

—:中央に赤のラインが入っていますね。

里舘:そこもこだわりポイントなんですが、よりスポーティ感を出したかったこともあって入れています。一方のグレーは本当に悩みました。F-15のような機能的な世界観を表現するために、直球のグレーは悪くはないのですが、そうすると赤がどうしても勝ってしまうんです。そこでちょっと青味を入れることで調和されることに気づいて、色々検討していった中で1番良かった色に仕上がりました。

—:また、赤のラインは室内にも配されています。そのトーンが内外できれいに揃っているように一見見せていますよね。そのあたりにもこだわりがあるようですが。

里舘:特にコペンではボディーカラーをそのまま塗ろうという話もあったのですが、レースに詳しい方にアドバイスをいただいたところ、室内において目につく色は、レーサーは好まないという話でした。そこでショーモデルであってもそこにも配慮して、少し明度を下げています。

最初はもっと明度を下げる話もあったんですが、やりたかった方向と違って、少し上質な方向になりかねないなと。そうではなくアクティブな方向にしたかったので、彩度は落とさずにちょっとだけ明度を下げるという方向でできました。

◆コペン20周年
—:エクステリアやインテリアともベースを元に結構特徴的な仕上がりになっていますね。

芝垣:オープンカーなので中と外の一体感が欲しいなと、赤を内装にも通しているんですね。この辺から、レーサーであり、オープンカーであり、軽でありという遊び心がうまく表現出来ていると思っています。ですので、サンデーレースと紹介しています通り、コペンでは日常と非日常とを上手く両立できるような、ある程度のファインチューンをしながらレーサーに近いものを提案しています。

因みにゼッケンの20は、コペン20周年記念という意味です。

—:インパネ周りにも特徴的ですね。

芝垣:はい、ストップウォッチ風の時計も加えています。インパネのトップのところが交換できるものになっていますので、気分に合わせてストップウォッチにしたりとか、ナビにしたりとかできるように考えています。

◆カタログモデル担当が手掛けたジャンボエクステンド
—:ではハイゼットジャンボエクステンドはいかがですか。

芝垣:このクルマはフラットな面を多く持つボディなんですね。一方で、コペンは曲面が多いクルマなので、このカラーで両立するのが難しかったと思います。

里舘:コペンのボディと、ハイゼットとではその面積がだいぶ違いますので、そこでもグレーの調整が難しかったのです。今度は明度の話になってきて、明るすぎると赤のストライプとのコントラストがおかしくなりますし、暗すぎると沈んでしまう。そこでショー会場の中でどのように見せるのが1番良いのかという視点も含めてかなり悩みました。

検討の時は、屋外の光の下、皆で一緒に見たり、室内で照明を当てたりしながら細かく確認して導き出したカラーです。

—:里舘さんはハイゼットのCMFもご担当され、先日のオートカラーアウォードも受賞されました。そこで、市販のハイゼットを仕上げた時に込めた思いと、今回のハイゼットジャンボエクステンドとでは何か差はありますか。

里舘:モーターホーム自体も働くクルマだとは思います。そこにさらに走る楽しさをプラスしたかったのです。ハイゼットのカタログモデルはストイックな世界ですけど、今回は、差し色をかなり入れることでスポーティさを表現したことが大きく違うところです。

それから荷室に関しては、ファブリックを使っています。これも若干彩度を落としているんですけれど、表皮の下にクッション材を入れることで、くつろいでいただきたいという思いで、さらにプラスしたという経緯があります。

—:因みにこのクルマに乗る人はどんな人でしょう。

里舘:レースを楽しみにサーキットなどに来ている人だと考えていますので、そういった方の気持ちが盛り上がるようなカラーリングにしています。

ただ、室内に結構派手に赤を入れてますが、全部の色を変えればいいというわけでもないので、そこはバランスを見ながらコーディネートしていっています。

それから、ゼッケンの62はハイゼット62周年を意味しています。

◆オートサロンのドレスコードにあっている
—:ハイゼットジャンボエクステンドは、通常の荷台が延長されるような仕組みです。このアイディアはどこから生まれてきたのでしょう。

芝垣:最初は偶然だったんです。元々ハイゼットをもっと使えるクルマにしたいという思いがありました。キャンプとか流行っていますので、そういったシーンで室内が大きくなるようなクルマはできないかなという着想だったんですけれど、コペンと一緒に考えてなにか面白い、チームプレイみたいなものができないかという提案があり、そこから議論して出てきたんです。

このアイディアに辿り着くまでには、多くの提案があったんですよ。富士の裾野でキャンプしているシーンなど、そういったものも一緒にメンバーとトライしていたんですが、このパンチ力が、オートサロンのドレスコードにあっているというか、来てくださるお客様が1番喜ぶのはこの仕様かなということで、今回提案しています。

—:荷台のアウターシェルが動いて長くなって、その分、荷室が広くなるというすごい発想は、市販車を考える上ではまず出て来ませんよね。ですからオプションなどで出たら面白いなと感じます。

芝垣:僕らもそうなればいいなと思っています。面白いシーンを提案したいという思いでしたので、少々量産としては無理な部分もあるかもしれませんが、モーターホームみたいなものが草レースの中でもあるといいなという、いわば憧れみたいなものを表現したかったのです。ありそうでなかったとか、ちょっとびっくりしてほしいとか、そんなことを考えながらやっていました。