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電動化戦略の巧さ、だけじゃない、年次改良で進化&変化する最新ボルボのスゴ味

  • 《写真撮影 中野英幸》
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マイナーチェンジを経て着々と完全電動化への移行を進めるボルボ。だが、その進化と変化は、単にパワートレインの脱CO2化にとどまらない。それはグレード体系や高級ブランドとしてのデザインのあり方にまで及んでいるという。最新ラインアップの試乗を通じて見えてきた「ボルボの今」を、レポートする。

◆R-デザインは「ダーク」に、2023年モデルの見所は
日本市場で『V90』と『XC60』のリチャージ系が2022年初夏、マイナーチェンジを通じて車格ごとに「T8 AWD」と「T6 AWD」という、電気モーターが滅法に頑張ってくれて約100km強圏内なら限りなくEVに近いPHEVになったことは、半年前に試乗レポートした通り。

セル構造が6連の水平スタックから3層重ねのレイヤーへ進化してバッテリー容量が前期型モデルより+60%ほど増し(旧11.6kWh>新18.8kWh)、前車軸を補助的に駆動するCISGの出力トルクも増大したがため機械式スーパーチャージャーを省けたこと、それがPHEVパワートレイン改良の眼目だった。

そこからさらに進んで、60&90シリーズ・2023年モデルの要諦は、まず内外装トリムレベルが名称ごと一新、シャッフルされたこと。従来のハイエンド・グレード「インスクリプション」は「アルティメイト」に、エントリーグレードの「モメンタム」は「プラス」へ変更された。ただし一方でCMA(小型車用プラットフォーム)の側、『C40』や『XC40』には「プラス・プロ」の名称で設けられた中間グレードが従来のモメンタムに相当し、その下の「プラス」がこれまでのベースモデルにあたる。

今回、師走の試乗会で、最初に試乗したのは「V90リチャージ アルティメイトT8 AWD」、続いて「XC60リチャージ アルティメイト T6 AWD」だったが、いずれも外観はまんま「R-デザイン」だった。というのも、格子グリルやドアミラーのグロッシーブラック仕上げ、スポーティなバンパー形状といった従来のR-デザイン的エクステリアは2023年モデルからはPHEVことリチャージ系の専用エクステリア・トリムとなって、「ダーク」と呼ばれる。電動化モデルのスポーティ・ルック化と言うは易しだが、先鋭的モデルをより価値づけるための変更といっていいだろう。

逆にクロームの縦ストライプグリルのような、これまでインスクリプションに与えられてきたクラシック・エレガントな外観トリムは、ICEの最上級モデルに割り当てられ、「ブライト」となる。ちなみにV90ではB6 AWDが廃され、48V MHEVでFF駆動のアルティメイトB5が、ブライト仕上げとなる。

◆クロスカントリー、ポールスターは最終モデルに
しかし2023年モデルは単なる内外装トリムの統廃合では済まない。というのも、これまでR-デザインでほぼ選べなかったホワイト/ベージュ/ブラウン系のインテリアも用意されるのだ。よってスポーティな外観に、ブラックや濃いチャコール以外のラグジュアリー内装、オレフォスのクリスタルガラス製で不思議と冷たくならないシフトレバーの感触といったものを、同時に楽しめるのはこれが初めてなのだ。

逆に、「スポーティ/エレガント/エフィシェンシー」がシャッフルされロジックが変化する中で、SUVテイストを盛り込んだ「V90クロスカントリー」そしてスポーツカー的なパフォーマンスを持つ「V60リチャージ ポールスター・エンジニアード」は2023年が最終年式となることもアナウンスされた。いずれも強烈な世界観と個性をもったモデルだけに、節目を感じさせる。未練ある人は急ぐべきだろう。

また2023年モデルで見逃せないソフト面での変更点は、全車・全モデルにグーグルが搭載されたことだ。その気になれば車内から音声コマンドを通じて家のエアコンを操作するといった、IoT化によるスマート機能が、ついに標準装備化されたのだ。

9インチのセンターディスプレイの縦4分割画面が、よりグーグル・オリエンテッドになった他、12.3インチのメーターディスプレイ表示もアップデートされ、メーター外側にベゼルが付いてパワーメーターの幅やコントラストが増すなど、読み取り易さを増している。加えて対PM2.5として有効な空気清浄機も標準装備されることになり、クラウドから外気データと連動させつつ、乗車前に車内の空気をクリーンにする、そんな使い方もできる。

◆「次はエンジンは要らない」と思わせる巧さ
ほぼ満充電から出発して、市街地や首都高程度の速度域と短いレンジに留まる限り、V90とXC60いずれのリチャージも、ICEが働いている感触は限りなく薄い。しかも徐行域でクリーピングの有無すらセンターディスプレイ内の設定で選ぶことになっているので、この先、順調に代替えしていくオーナーなら次は別にエンジンは要らないという感覚になるのではないか。

2025年に販売量の半分はBEV、2030年にはBEVオンリーと、ボルボは急進的なことを宣言しているようで、そのためのチェンジや辿るべきプロセスを乗り手に押しつけずに、徐々に自然に巻き込むのがホント巧い。V90リチャージが2130kg、XC60リチャージは2180kgと、PHEVとしてもお世辞にも軽いといえない車重だが、重さを利して乗り心地や滑らかさ、快適性に繋げるためのサジ加減も、抜群に巧い。

電動化を奇貨とし、ジャーマン御三家に代表されるプレミアム・セグメント内でのポジショニング上昇に繋げようとしていることが伝わってくるフットワークなのだ。これは145ps・309Nmにまでリアモーターの出力が向上し、配分的にもリア側を増やしてかなりの部分を後輪駆動でまかなえてしまう、そんなドライバビリティも高級感に貢献しているだろう。

ナッパレザーの内装についても、オフホワイト系のV90はラウンジかサロンのようにフォーマルな印象だが、翻って濃い茶系トーンのXC60に乗り換えると、別荘やログハウスのようなカジュアルさがある。オプションでサスティナブルなウールブレンド内装も選べるが、いまだナッパレザーの質感と完成度の高さには抗し難い。

◆エンジンモデルにもボルボの凄味
だがボルボの戦略の凄味は、電動化の度合いがBEVやPHEVほどではない、非リチャージ系のFFモデルにも、ちゃんと妙味を用意していることだ。具体的には2022年後期モデルからXC40と並んでV60にも追加されたB4パワーユニットのことだ。1968ccの直4ターボに48Vシステムを組み合わせたMHEVは従来もあったが、エンジン自体がアトキンソンサイクル化され、7速ATギアトロニックことDCTを組み合わせることで、WLTCモードで15km/リットル超えの燃費を実現しているという。

ゼロ・スタート時にアテにできる電気モーター駆動は14ps弱・40Nm程度。しかし車重1710kgは、PHEVに比べたら相対的かつ圧倒的にマスが小さい。ICEは目覚めても大人しいが力強く、効率とマナーに優れたツインクラッチの加速感を伴い、望む速度にのせつつ、V60の成熟した足まわりが受けとめてくれる。乗り心地は無論、低速域で操る際の感触からして滋味深い。

1月からボルボのラインナップ全体で10万~30万円の値上げが適用されるため、今回試乗した1台目、V90リチャージ アルティメイトT8 AWDは1079万円から1109万円に、2台目のXC60リチャージ アルティメイトT6 AWDは904万円から924万円に、そしてV60 アルティメイトB4ダークエディションは639万円から659万円となる。昨今の資源高・コスト増を思えば不可抗力かもしれないが、いずれの車種も「クラシック」(ボルボ伝統の最終モデル)登場までに当分、間があることは確実。乗れるうちに乗っておくことが、今や後悔しない乗り方として定着しつつあるのだ。

■5つ星評価

・V90 リチャージ アルティメイトT8 AWD(PHEV)
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★

・XC60 リチャージ アルティメイトT6 AWD(PHEV)
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

・V60 アルティメイトB4
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★

南陽一浩|モータージャーナリスト
1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。