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メルセデスAMG、F1で採用の電動化技術を「GT 63 S」に導入

  • 《photo by Mercedes-Benz》
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  • 《Photo by Peng Dawei/China News Service via Getty Images/ゲッティイメージズ》
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メルセデスベンツの高性能車部門のメルセデスAMGは9月6日、ドイツで開幕したIAAモビリティ2021において、メルセデスAMG 『GT 63 S Eパフォーマンス』(Mercedes-AMG GT 63 S E PERFORMANCE)の実車を初公開した。

◆メルセデスAMGのパフォーマンス指向の電動化技術を搭載

同車は、メルセデスAMGの新たな電動化技術、「Eパフォーマンス」を搭載する最初の高性能プラグインハイブリッド車(PHV)だ。Eパフォーマンスとは、メルセデスAMGのパフォーマンス指向の電動化テクノロジーを意味する。Eパフォーマンスのロゴの下で、パワフルで効率的な電動テクノロジーを開発していく。

Eパフォーマンスの名称は、メルセデスAMG 『GT 4ドアクーペ』がベースのメルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンスをはじめ、新型ハイパーカーのメルセデスAMG『プロジェクトワン』など、今後の市販モデルに付される。メルセデスAMGペトロナスF1チームのF1マシンにも、Eパフォーマンスの名前が使用されている。

メルセデスAMGは2012年から、メルセデスAMGペトロナスF1チームと協力してきた。それ以来、両者は多くのプロジェクト、とくにモータースポーツから市販車への技術移転の分野で緊密に協力してきた。そのノウハウが、Eパフォーマンスに導入された。

◆メルセデスAMG GT 4ドアクーペのフラッグシップに

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンスは、メルセデスAMG 『GT 63 S 4MATIC+ 4ドアクーペ』の上に立つメルセデスAMG GT 4ドアクーペの新たなフラッグシップに位置付けられる。

Eパフォーマンスの高性能ハイブリッドシステムは、メルセデスAMGのエンジンに、電気モーター、高性能バッテリー、可変トルク配分が可能な4WD「AMG パフォーマンス4MATIC +」を組み合わせたものだ。電気モーターは、最大出力204hp、最大トルク32.6kgmを引き出す。モーターはリアアクスルに配置され、電気式の2速トランスミッションと電子制御リアアクスルデフロックと一体設計された。軽量で高性能なバッテリーは、リアアクスルの上にレイアウト。このシステムを、スポーツカーやパフォーマンスモデルに搭載した場合、多くの効果を発揮するという。

メルセデスAMGが開発した電気モーターは、9速の「AMG SPEED SHIFT MCT 9G」トランスミッションを介さず、リアアクスルに直接パワーを送る。これにより、追い越しなどの際に追加のブーストとして、モーターのパワーを、よりダイレクトに駆動力にすることが可能になるという。

さらに、一体設計された電子制御リアアクスルデフロックは、走行状況に応じて、左右の後輪に最適なトルクを配分することができる。その結果、コーナーの立ち上がりなどで、さらに力強い加速を可能にしているという。後輪のスリップを検知すると、電気モーターの駆動力が前輪に伝達され、トラクション性能を向上させる。

◆V8ツインターボ+モーターのPHVシステム

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンスでは、直噴4.0リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジンが最大出力639hp/5500~6500rpm、最大トルク91.8kgm/2500~4500rpmを発生する。これに、モーターが加わったPHVシステム全体で、843hpのパワーと、149.9kgmのトルクを引き出す。これにより、0~100km/h加速2.9秒、最高速316km/hの性能を可能にする。843hpのパワーは、メルセデスAMGの量産車として、史上最強という。

「AMGダイナミックセレクト」は、「エレクトリック」、「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツ+」、「レース」、「スリッパリー」、「インディビジュアル」の7種類の走行モードが切り替えられる。各走行モードでは、ドライブシステムとトランスミッションのレスポンス、ステアリング特性、サスペンションダンピング、サウンドなどが変化する。モードの切り替えは、センターコンソールのスイッチ、またはAMGステアリングホイールのボタンで行う。

システムは、コンフォートモードでサイレントに起動する。インストルメントクラスターには、「準備完了」のアイコンが表示される。さらに、メルセデスAMGらしいパワフルで響き渡る始動音が、車内のスピーカーから音響フィードバックとして発せられる。アクセルペダルを少し踏めば、AMGパフォーマンスハイブリッドをモーターのみで動かすことができる。

◆高性能バッテリー「HPB」を採用

メルセデスAMG GT 63 S Eパフォーマンスには、メルセデスAMGが開発したパフォーマンスハイブリッドモデル用の高性能バッテリー、「HPB」が採用される。メルセデスAMGペトロナスF1チームのノウハウを導入して、開発されたリチウムイオンバッテリーとなる。

この高性能バッテリーは、連続して高いパワーを引き出すことができるのが特長だ。これに軽量構造を組み合わせて、車両の性能を向上させる。高いエネルギー密度を備えており、たとえば高低差の大きい山道を走行する場合、上り坂でも素早くフルパワーを引き出すことができるという。

このメルセデスAMGの高性能バッテリーは、6.1kWhの蓄電容量、70kWの連続電力、10秒間に限られる150kWのピーク電力性能を備える。バッテリーの重量は89kgとし、1.7kW/kgのエネルギー密度を可能にしている。

バッテリーの充電は、充電ステーション、ウォールボックス、家庭用コンセントに、出力3.7kWの車載AC充電器を接続して行う。EVモードの航続は最長で12km。都市部の住宅から郊外または高速道路まで、静かなゼロエミッション走行を可能にする、としている。