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遠隔4都市での自動走行を1カ所でコントロール…東急が静岡県の実証事業を受託

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東急は、静岡県が実施する自動走行実証事業「しずおか自動運転ShowCASEプロジェクト」の2021年度事業受託者に決定した。東急が4日、発表した。自動運転技術による移動サービスの社会実装に向けて、静岡県内の4都市で実証実験を実施する。

この事業は、静岡県内各地域が直面する、地域交通の運転手不足や過疎地域などの高齢者への移動支援といった課題に対し、自動運転などの最新技術を用いた実証実験を展開し、地域の交通事業者が新たなモビリティサービスを展開、社会実装することを目的としたプロジェクトだ。

東急は静岡県内で、観光列車・観光型MaaSなどの事業を通じた地域活性化、インフラ設備の防災力強化に向け、2019年より静岡県と各種連携協定を締結し、課題解決に取り組んでいる。2020年12月には、伊豆急行・伊豆高原駅付近に、複数台の自動運転車両を監視・操縦可能な「遠隔コントロールセンター」を設置し、運行する車両の遠隔監視・操縦技術を検証する実証実験を実施した。東急によると、この実験での取り組み内容が、静岡県より将来の社会実装に向けて最も親和性が高いと評価され、今回の受託になったという。

2021年度事業で実施する実証実験では、静岡県内の4都市(賀茂郡松崎町、伊東市、沼津市、掛川市)において、複数都市の車両を遠隔監視し、また複数台の車両を遠隔操縦することで、遠隔コントロールセンターの高度化をめざす。1カ所の遠隔コントロールセンターから複数都市での遠隔操縦をするのは日本初となる。

この実験では、遠隔監視・操縦の技術を活用することで、バス路線の維持が困難な過疎地域、駅から観光地へのラストワンマイルといった地域交通課題の解決に向けた検証に加え、自動運転車両を観光地のコンテンツとして運行することで地域の活性化をめざすなど、自動運転技術により、地域ごとに異なる課題解決に取り組む。

なお東急は本実験の実施のほか、本事業全般のマネジメントの役割を担い、名古屋大学、ソリトンシステムズなどと協働し、静岡県が掲げる2024年度の社会実装の実現に向けて、自動運転技術による地域課題の解決を推進する。