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フェラーリ、『812 コンペティツィオーネ』発表…830馬力のクーペとオープンを限定生産

  • 《photo by Ferrari》
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フェラーリは5月5日、『812コンペティツィオーネ』と『812コンペティツィオーネA』(Ferrari 812 Competizione / 812 Competizione A)を発表した。

両車は、『812スーパーファスト』をベースにした最新の「リミテッド・エディション・スペシャルシリーズ」だ。812コンペティツィオーネはクーペボディ、812コンペティツィオーネAはオープンボディとなる。Aはイタリア語でオープンの意味を意味するapertaの頭文字だ。

フェラーリは、812スーパーファストの特徴を磨き上げ、フロントエンジンベルリネッタのコンセプトを究極の形で表現した、と自負する。フェラーリの最も情熱的なコレクターや目の肥えた顧客に向けて、新たなテクノロジーを取り入れている。

◆専用チューンのV12はフェラーリ史上最高の9500rpmまで回る

パワートレインには、812スーパーファストの6.5リットルV型12気筒ガソリン自然吸気エンジンを、専用チューンして搭載する。最大出力は、フェラーリの電動モデル以外の市販エンジン車としては、史上最強の830psを獲得する。エンジンの最高回転数も、フェラーリのエンジンで史上最高の9500rpm とした。

このV12エンジンは、コンロッドやピストン、クランクシャフト、バルブトレインなど、エンジンの主要コンポーネントを細部まで再設計した。たとえば、チタン製コンロッドはスチール製より40%軽量でありながら、機械抵抗は同じとした。一方、ピンストンピンには、「ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)」コーティングを施し、摩擦係数を低減して、パフォーマンスや燃費の向上を追求する。クランクシャフトはバランス取りを行い、ベース車両よりも3%軽量化されている。

最も大きな改良点は、バルブトレインとシリンダーヘッドで、完全新設計とした。カムシャフトの回転でバルブステムを動かす装置は、DLC コーティングを施したスチール製の「スライディング・フィンガーフォロワー」に変更された。これはフェラーリのF1での経験から生まれた技術で、このエンジンのために特別に開発され、バルブリフト特性を高めているという。

全回転域でエンジンが適切に空気を取り込めるよう、吸気システムも再設計された。マニホールドとプレナムチャンバーをコンパクトにして経路の全長を短縮したため、高回転域でさらに大きなパワーを発揮する。一方、可変ジオメトリー吸気ダクトによって、トルクカーブをすべての回転域で最適化。このシステムは、吸気ダクトアッセンブリーの長さを絶え間なく変更し、点火順序に適合させることで、シリンダーへの動的な充填を最大化する。その結果、エンジンは高速でレブリミットまで回転を上げ、レッドゾーンまで谷が存在しないという。

摩擦や機械損失を低減してエンジンの全体的効率を高めるため、エンジンの全作動範囲で油圧を継続的に調整する可変容量オイルポンプも新開発している。新しい排気システムも採用した。吸気ダクトに手が加えられ、2組目のレゾネーターを装備したことで、特定の周波数が強まり、エンジンの点火順序による気高い倍音成分がさらに強化されているという。

◆クーペ版には一体成形のアルミ構造リアスクリーン

812コンペティツィオーネの外観は、エアロダイナミクスの追求によって、ボディラインが大きく変わった。エアロダイナミクスのエンジニアは、フェラーリ・スタイリング・センターと連携して、公道仕様の車両としては異例のシルエットを持つ過激なフォルムを採用したという。

車両全体のエアロダイナミクスを再設計したのは、ダウンフォースレベルを最大化するのが目的。新しいフロントのエアインテークやリアのディフューザー、エグゾーストシステムをはじめ、新たに「ボルテックス・ジェネレーター」を装着した特許取得のリアスクリーンなどが採用されている。

デザインは、ベースとなった812スーパーファストとは明確な差別化が図られた。その一例が、リアスクリーンをガラスではなく一体成形のアルミ構造としたことだ。ここに装備されるボルテックス・ジェネレーターには、車体の空力効率を高める効果がある。それだけでなく、ルーフと一体デザインとなり、車両の彫刻的フォルムが強調されているという。

これに加えて、ボンネットを横切るカーボンファイバー製ブレードによって、車両全体のボリューム感を変化させている。ボンネットが短くなったように見えるため、車体の横幅が強調され、リアはより力強いファストバックになっているという。

シルエットやプロポーション、フォーマルなバランスは812 スーパーファストと共有しながら、よりコンパクトなコンペティションカーのような印象を強めることを狙った。リアスポイラーは、装着位置が高くなった。さらに、専用デザインとすることによって、リアがワイドで水平に見えることを目指したという。

◆オープン版もクーペ版とほぼ同レベルのダウンフォースを獲得

一方、オープン版の812コンペティツィオーネAでは、ボルテックス・ジェネレーターが装備できないことによる影響を埋め合わせるため、左右の「フライング・バットレス」の間にブリッジエレメントが設けられた。気流を効果的にそらしてリアスポイラーへ流すように最適化されており、クーペ版とほぼ同レベルのダウンフォースを獲得しているという。このブリッジが、タルガタイプの車両に特有の空気抵抗の増加を抑える。ブリッジが空力的なウィングとして働き、上面の気圧によって正の圧力場を作り出すため、リアスクリーン以降の流速が上がり、空気抵抗を低減している。

また、ウィンドスクリーンのヘッダーレールに組み込まれたフラップが、オープントップ時の乗員の快適性を高める。強い二次的な気流はフラップで上へそれるため、車内が乱されることはない、と自負する。これによって、コックピットは後ろまで空気の泡に包まれるため、乗員の頭部の後方エリアにも、不快感をもたらす過剰な気圧が発生しないという。

左右のバットレスの間には、2 個の空力的な開口部が設けられた。これにより、サイドウィンドウを越えて入ってくる気流を抑える。快適性の向上とルーフを開けた時の空力効率の向上を追求している。

◆ベース車両に対して38kg軽量化

両車のインテリアは、ベース車両の812スーパーファストを受け継いでいる。ダッシュボードをはじめ、ドアパネルのインターフェースやボリュームなどにも変わりはない。インテリアは、ドアパネルを軽量化のために新設計した。センタートンネルには、「Hゲート」のテーマを導入した。

4輪独立ステアリングを採用する。これによって、コーナリング時の敏捷性や正確性を高めるとともに、ステアリング操作に対する応答性を追求している。

ベース車両の812スーパーファストに対して、38kgの軽量化も図られた。これは、フロントバンパー、リアバンパー、リアスポイラー、エアインテークなど、エクステリアに幅広くカーボンファイバーを使用した効果だ。また、ビークル・ダイナミクス・システムの「サイドスリップ・コントロール」のバージョン7.0が初搭載されている。