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5Gを活用して対話—自動運転車いす体験会 NTTドコモ

  • 《写真撮影 会田肇》
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NTTドコモは3月5日、パシフィコ横浜で開催された「Minatomirai 5G Conference」において、久留米工業大学が提供する「対話型AI自動運転車いす」の体験会を実施した。会場では自動運転車いすの自動走行に加え、5Gを活用した遠隔操作での走行も実施して注目された。

◆検証目的は「自律走行→遠隔操作」へのスムーズな切り替え

この取り組みは昨年11月、NTTドコモ九州支社と久留米工業大学が締結した、5Gを活用する「対話型AI自動運転車いすパートナーモビリティのリモート手助け協同検討に関する覚書」に基づいて実施されたもの。この実験では5Gが実現する高精細な映像伝送や遠隔操縦を利用。通常時の自律走行だけでなく、遠隔地からのスタッフによる手助けによって、車いすに乗車した人が直接の介助者なしでも自由に移動できる技術へ発展させる。

パートナーモビリティには「エッジAI対応5Gデバイス」を搭載しており、自動走行時の「障害物検知機能」を活用しての自律走行や、周辺を撮影して映り込む人たちへのプライバシー保護処理も可能となっている。しかし、人混みや障害物などによって自己位置が認識しにくい場所もあり、さらにはデジタルマップが存在しない場所への誘導などでは自律走行が難しくなるケースもある。また、利用者の体調の変化から特別な支援が必要になることも想定されるだろう。

こうした状況下においては、いかにスムーズに自動走行から遠隔操作へと切り替えられるかが課題となる。これまでにも自動運転車いすは、空港やショッピングモールなどの限られたエリアで実証実験が進められてきたが、それらの多くはLTE回線を使用する例がほとんどだった。

そこでこの実験で活用したのが5Gとドコモオープンイノベーションクラウドを経由するクラウドダイレクト接続だ。この接続により可能となるのが5Gならではの高精細かつ低遅延な映像伝送で、合わせてインターネットを経由しないことで高いセキュリティも確保できる。これにより遠隔操縦を行う際の安全性と信頼性は大幅に高くなるというわけだ。

◆ローカル5Gで突然のアクシデントにもスムーズな引き継ぎを実現

今回の体験会で使われたパーソナルモビリティは、歩行者のカテゴリーに入る電動車いす『WHILL Model C2』にエッジAI対応5Gデバイスを搭載したもの。乗車する人の前には行き先設定や遠隔操作をするためのスマートフォンが置かれ、背後の高い位置には前方用カメラと、周囲360°を監視するライダーとGPS、360°カメラ(リコー・THETA)を装備。外部から遠隔操作する場合も車いすの周辺を把握できるようになっていた。

体験では、利用者が端末に話しかけて行き先を設定し終えると、パーソナルモビリティが目的地へ向けて自動走行。あらかじめ準備された地図データを元に周囲を確認しながら壁面や柱なども避けて走行し、人がいる場合はそれも避けながら最初の目的地へ到着した。次に特設で準備されたイベント会場へ向かうという想定で、今度は遠隔操作での走行に切り替えた。ここで利用者が何らかの設定をする必要は一切ない。いずれも通信は会場内に設置されたローカル5Gを使い、突然のアクシデントにも時間差なく対応できるという。

開発を担当する久留米工業大学交通機械工学科学科長で、インテリジェント・モビリティ研究所の所長でもある東大輔(あずま・だいすけ)教授は、なんと三菱『ランサーエボリューションX』の開発に空力デザインで携わった経験の持ち主。東教授は「速さはだいぶ違いますが、安全に目的地に到着するということでは目標は同じです」と話し、「現状では施設内でのラストワンマイルとしての活用だが、今後は公道での展開も考えたい」と将来への展望も語った。

自動車の分野では自動運転レベル3の車両が国土交通省から型式認定を受け、にわかに注目を浴びているところだが、車いすの分野でも急速に自動運転化が進んでいる。日常生活の中での視点で考えれば、自動運転化を身近に感じられるようになるのは、むしろ車いすの方が先になるのかもしれない。