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【スズキ ソリオ 新型】実寸以上に大きく見せながら、上質さも加えて…エクステリアデザイナー[インタビュー]

  • 《写真提供 スズキ》
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スズキは小型ハイトワゴンの『ソリオ』をフルモデルチェンジした。そのエクステリアは上質でダイナミックさを追求したものだという。そこで、エクステリアデザイナーに具体的な話を聞いてみた。

◆競合車を意識してデザイン

—-:初代は『ワゴンRワイド』という名前でデビューし、2011年には両側スライドドアを備えた2代目に進化。2015年に登場した3代目も販売台数を伸ばしてきました。そして今回4代目ということで、スズキとしては力を入れたモデルだと感じます。ソリオの担当デザイナーに任命された時、どのように思いましたか。

スズキ四輪デザイン部エクステリアグループ係長の福島耕一郎さん(以下敬称略):実は先代も担当していましたので、何となくお客様のイメージや、スタイリングする際の難しさもわかっていましたので、やりがいはすごくあると思いました。

—-:いまおっしゃった、スタイリングの難しさとは何でしょう。

福島:ソリオは、スタイリングはもちろん大事ですが、室内空間などの機能的なところをお客様はすごく重視していますので、闇雲にスタイリングとして使える余地は少ないのです。ですので、箱型にしながらも、その中でいかにスタイリングをまとめていくかという難しさがありました。

—-:それは先代ソリオでも同じだったと思いますが、その時に重視してデザインしたことと、新型とでは違いますか。

福島:共通していえるのは、コンパクトサイズながら少しでも立派に見えるということは大事にしています。実際のサイズ以上に、長く幅広く見えるようにするのは、先代も新型も共通です。ただし新型については、競合車が出て来ていますし、当然ライバルの状況などを見ていくと、デザイン自体もダイナミックさや、質感の高いクルマが多いので、今回に関してはその辺りの上質さ、質感を上げることを意識してデザインしました。

◆このクラスのパイオニアとして

—-:上質さや質感向上という点において、先代ソリオユーザーから意見はあったのでしょうか。

福島:大多数ではありませんが、一部のお客様からあまり高級に見えないなど意見もありましたので、質感向上というのは今回のテーマのひとつとしてありました。

—-:一方で、ソリオのデザインとして先代ですごく評価されたところはどこですか。

福島:コンパクトカーではありながら、それなりに顔周りなどがしっかりとして見えるというところです。可愛すぎて見えないなど、普通に乗用車として乗るうえでは、それなりの質感はあるというところは評価されていました。

—-:それでももう少し欲しいという声もあったということですか。

福島:そうです。

—-:先代から新型へと続けてエクステリアデザインを担当したわけですが、新型で一番やりたかったことはどういうことですか。

福島:いま強力な競合車が出てきていますので、このクラスのパイオニアとしてそこはアピールしなければいけないと思いましたので、その独自性といったところはしっかりとやっていきたいと思いました。

—-:それは例えばどういうところですか。

福島:ソリオのお客様を見ていくと大きく分けて2パターンあります。ひとつは軽自動車からステップアップするお客様と、もうひとつは大きなクラスからダウンサイズしてくるお客様です。その両方のお客様に満足してもらえることが、このクルマにとっては非常に重要です。従って、コンパクトサイズですが、クルマとしてきちんと存在感のある、大きなクルマから乗り換えても違和感を覚えないような見た目は非常に大事なのです。

—-:最近、軽自動車の購入理由等を見ているとデザインやカラーがすごく上がって来ています。その傾向はソリオが属するセグメントでも同様なのですか。

福島:もちろん大事だと考えているお客様はいますが、一番ではありません。それよりも室内空間の広さや燃費、価格といったところがデザインと同じぐらい大きな割合として占めていますので、見た目はもちろん大事なのですが、必ずしも見た目だけで選ぶというクルマではありません。

◆上質でダイナミックがデザインコンセプト

—-:さて、新型ソリオのデザインコンセプトはどういうものですか。

福島:上質でダイナミックなデザインです。そこに至った理由として、先程述べたステップアップユーザーとダウンサイザーがいますので、そのどちらも満足してもらうために上質というキーワードが出て来ました。

ダイナミックについては、色々なミニバントレンドを調べていくとだんだんとデザイン自体の主張が強くなり、ダイナミックなものが増えて来ていますので、そういったトレンドはある程度反映すべきだと思っていますが、ユーザーの声を聞くと、いわゆる“オラオラ系”のようにやりすぎてしまうと敬遠してしまう人が相当数多くいます。そこで、デザインや見た目も大事にしながらも、少し無難なものを好む、悪目立ちしたくないという声も非常に多くありますので、そういったことも踏まえながらデザインをしました。

—-:デザインのコンセプトとしては“上質でダイナミック”というキーワードは無難ないい方だと感じます。福島さんご自身としては、もっとやりたかったテーマがあったのではないでしょうか。

福島:ソリオはスズキの小型車の中では、OEMの『ランディ』を除くとフラッグシップのような存在です。そこでの質感向上は必要だと個人的にも思っていますので、大きくずれてはいません。

◆上質さはメインキャラクターと面の構成

—-:具体的に、上質さとダイナミックさそれぞれをエクステリアで表現しているところはどこですか。

福島:上質に関しては、ダイナミックさにもかかってきますが、先代に比べてボディー断面でより抑揚が強く見えるように意識しています。例えば、サイドにメインのキャラクターラインが入っていますが、そこから前後フェンダーに向かう面があります。これはキャラクターラインからホイールアーチに向かって面が膨らんでいき、その部分の断面の考え方を指しています。リアに関しては、同じくサイドのキャラクターラインが一旦下がってその後に上がるのですが、上がったところからリアのホイールアーチに向かってブリスター状になっていくような見せ方です。

—-:これは新しい見せ方ですね。

福島:先代もリアフェンダーに関してはキャラクターの下はブリスター状になっていました。しかし今回の方がよりわかりやすくなっていると思います。タイヤ周りはしっかりと見せることを意識してデザインしています。

—-:そのサイドのキャラクターラインですが、通常であれば直線基調で若干ウェッジをかけて後ろに抜きたいと考えがちですが、あえてこのクルマの場合は曲線を入れながら躍動感を出していますので、実現に向けては結構難しかったと思います。

福島:はい、とても難しかったですね。クランクさせる位置などもすごく吟味して何度もやり直しました。もちろんストレートに通すやり方もあるのですが、それよりもダイナミックさを出すこととともに、クランクさせることによってストローク量が増え、単に直線的にラインを引くよりも長く見えるのではないかと考えたのです。そこであえて動きのあるキャラクターラインを今回用いています。

◆ダイナミックさはフード位置を上げて

—-:ではダイナミックさはどうですか。

福島:例えば顔周りで、フードの位置を高く(45mm、バンディットは25mm)することで、顔の天地幅が増えています。そうすることでちょっと迫力を増したり、押し出しを強くしたりというところを意識しています。グリルに関しても縦横比を変えて、グリルの存在感を強めることで力強い感じを表現しているのです。

—-:なぜフードを高くしたのでしょう。

福島:そこもダイナミックに繋がるところなのですが、全体的なミニバントレンドを見てくと、より押しの強さが出て来ますので、その辺りを踏まえると単純にフードの先端を上げてしまって、顔を分厚く見せることでダイナミックなところを表現しようと考えました。

—-:つまりフードが上がったのはデザインのためなのですね。

福島:はい、これはデザインのためで、今回のモデルチェンジでは大事なところです。先代に比べてもう少し力強さなどを表現したかったので、顔のボリュームを増すためにフードを上げたのです。

◆全長が伸びたことのメリット

—-:全長も80mm長くなりました。これはデザイン的にもメリットは大きくあると思いますが。

福島:荷室容量を増やしてほしいというお客様の要望から全長は伸びました。これはデザイン的にもすごく良いことが多いですね。先代は、リアをスパッと切り落としたような見え方をしていましたが、リアオーバーハングが出来ましたので、サイドビューのバランス的に非常に良くなったのです。

—-:ルーフライン、ウィンドウシルエットはとても特徴的ですね。これはどういう考えなのでしょう。

福島:ルーフラインはメインのキャラクターラインの最後部分と連動しているところもあるのですが、何かしらダイナミックさ、アイキャッチ、アクセントになるところを入れたかったのです。リアドア後端辺りで一旦下がってからまた上がることによって後方に向かって広がりを見せ、ダイナミックさを表現しています。

また先代はDピラーのところにシャークフィンのような形で車体色を載せていました。これはこれで特徴的で良かったのですが、今回はより車体を長く見せたいので、ベルトラインに関してはシンプルに横に通し、より長く見せることを意識しています。それによって基本的に後方視界も広くなりましたので、使う人にとっても良いと考えています。

—-:ウィンドウ周りがすごく広く感じますので、室内の広さ感が伝わって来る一方、ルーフラインが後半で少し下がる部分から、荷室が少し狭く感じるような気もします。これは後ろへの抜け感やダイナミックさを重視したからですか。

福島:少しでも動きや動的なところをウィンドウグラフィックでも表現したいと思い、このようにしました。

◆L字型テールランプとガーニッシュを繋げて幅広く

—-:リア周りはどうですか。

福島:今回80mm全長が伸び、背面に関しても先代に比べてプランカーブ(全体の大きな曲面)が付けられましたので、先代のようなすごく平たい印象というのはなくなったと思います。

—-:L型のテールランプとエンブレムの位置が綺麗に繋がっていてすごくスッキリして見えています。

福島:リアに関しても少しでも幅を広く感じて見えるようにしたかったのです。先代も同じくL字のテーマでしたが、今回はもっとそれがわかるようにL字のランプの中からバックドアガーニッシュにかけて綺麗に繋げて見せることによって、幅をしっかり感じさせています。そういったところはすごく意識をしました。

◆フード以外はすべて変えて

—-:ここからは標準車とバンディットそれぞれについてお尋ねします。標準車についてはどういう考えてデザインされていますか。

福島:上質でダイナミックなデザインということでデザインし、バンディットはそこに加えて圧倒的な迫力を意識しています。

—-:フロント周りの変更点が多いですが、共通のパーツはどこですか。

福島:フードだけです。

—-:ずいぶんと変更部位が大きいのですね。そこまでの差別化は必要だったのですか。

福島:そうです。バンディットのスケッチを見ると、フェンダーを共通するのは厳しいデザインでしたので、そこは無理してフェンダーも変え、別デザインにしました。因みに先代はフェンダーとフードも変えていますので、その時よりは変更点は少ないですね。

—-:標準車の顔周りは上質さとダイナミックさを感じさせ、バンディットはもっと存在感をということですが、標準のソリオも存在感は必要だと思いますがいかがですか。

福島:存在感はもちろん大事ですが、キャラクター的にいうとバンディットはより個性的、こだわりを持ったお客様に向けたクルマですので、もっと個性的な存在感というところは意識して差別化をしています。

—-:因みにどちらを先にデザインしたのですか。

福島:標準車が先です。

◆ポジションランプを目として見せよう

—-:バンディットを見ると標準車と比較しフロントフェイスの印象が相当違っています。このポイントについて教えてください。

福島:より個性的なデザインとして、ランプが二段式になっています。先代も一緒で踏襲していますが、見え方を変えています。上にポジションが来ているのですが、先代は下だったのです。上のポジションとグリルをひとくくりにして、そこで顔というか、目として見せようとしています。そして、その下にメインのヘッドランプが入っているのですが、そこはなるべく存在感をなくすような感じで考えています。上下二段は踏襲していますが、考え方としては全く先代とは違う感じにしました。

—-:その理由は何ですか。

福島:もともとバンディットは標準車に対して特別感、クールなどを表現しなければいけないので、表情をガラッと変えるべく、標準のしっかりと“目”のあるものに対して、ランプに関してはとにかくシャープな印象にしたかったわけです。そうではありますが、メインのヘッドランプを小さくするのには限界がありますので、そこはポジションを目としてよりシャープな印象になるような考え方にしました。

—-:通常はヘッドランプで個性を出した方がやりやすいと思うのですが、あえて上下を逆にして、しかもポジションで個性を出したのはなぜですか。

福島:結果的にポジションになったのですが、単純に寸法(サイズ)を小さく出来ることが一番大きいですね。

—-:つまり、寸法を小さくすることによってシャープさがより強く出せるという判断ですね。

福島:そうです。

◆カスタムグレードでも上質さを

—-:シャープさという意味では意外とグリルが大きいようにも思います。

福島:グリルは顔の中で大事な目が行くところなので、そこはしっかりとある程度ボリュームを持たせたかったのです。これは標準のソリオとも(考え方は)共通で、グリルをまずしっかりと見せるようにしています。

—-:しっかりと見せたいということを考えると、標準のソリオと同じようにバンパーの下まで大きく取るという方法もあります。そうすることによって全体的にも迫力が出て、わかりやすくもなると思います。しかしあえて今回はセパレートさせて、その間にボディー色を入れています。あえてセパレートさせている理由は何ですか。

福島:もちろん標準車との差別化もありますが、上質というのはバンディットもすごく意識していて、ただ単純にカスタム系によくあるいわゆる“オラオラ系”のものにはしたくはありませんでした。カスタムグレードではありますが、上質さというのは非常に大事と考えていましたので、そういったところもあります。

また、単純にグリルを下まで降ろしてしまうと、縦の動きがすごく強くなって見えてしまいますが、ある程度横の動きもちゃんと見せることで標準車の縦に対してバンディットの横の動きということで、最終的には差別化にもなると考えひとつの手法として取り入れているのです。

—-:横方向の動きで見せたいというのは安定感を求めているからですか。

福島:安定感もそうですし、少しでもワイドに見せて立派に見せることもあります。

—-:いまおっしゃったように、これまでのカスタム系は少しきつい印象がありました。しかしバンディットは、人に対しての攻撃的なイメージはあまり感じられませんからそこはとても好ましいと思います。その辺りはこだわっているのでしょうか。

福島:やりすぎたものは好まないというお客様の言葉が意外と自分の中で残っていて、やろうと思えばいくらでも出来るのですが、ソリオというクルマを考えた時に、日常で使うクルマですから、毎日怒ったような顔のクルマに乗るのもどうかなと思う人がお客様の中で非常に多いのかなと思っています。ですので、ちょっとそういったところは意識をしています。

—-:先代バンディットのイメージを顔周りで残したところはどういったところがありますか。

福島:やはりやりすぎないことです。後は横基調でワイドに見せるという考え方ですね。先代もギリギリのところでやりすぎていませんから。

—-:では最後にこだわりのポイントについて教えてください。

福島:小型車にちゃんと見えるということはすごく意識しました。もともとこのクルマはワゴンRの拡幅版からスタートしており、どうしても軽自動車というイメージが少なからずあるのかなと思っています。ちゃんと小型車に見えて、軽自動車に見えないというところはすごく大事。そういったところからきちんと抑揚を見せるとか、断面の取り方といったところはすごく意識しました。完成までにはかなりモデラーには苦労をかけました。ただ、競合も増えて来ていますのでこのクラスのパイオニアとしてちゃんと今後も安定して売れ続けてほしいと思っています。