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【日産 キックス 新型】e-POWER制御は車速重視に大転換…初期受注は8000台に

  • 《写真提供 日産自動車》
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  • 《photo by Nissan》

日産自動車は7月20日、新型SUV『キックス』の開発や商品企画の担当者によるオンラインの商品プレゼンテーションを開いた。

このなかで、ハイブリッド(HV)システム「e-POWER」の改良や、6月30日の発売から先週までの初期受注が8000台になったことなどを明らかにした。キックスは、日産の国内向け登録車の新車名モデルとしては2010年発売の量産電気自動車(EV)『リーフ』以来10年ぶりとなった。日本ではシリーズ式のHVシステムであるe-POWERのみの設定とし、『ノート』、『セレナ』に続く3番目の同システム搭載モデルだ。

プレゼンテーションでは、e-POWERシステムの進化に力点が置かれた。たとえば、キックスのe-POWERはエンジンが3気筒DOHCの1.2リットル、バッテリー容量は約1.5kWhと、ノートと同じ仕様ながら、エンジン始動の制御などにより静粛性を徹底追求したという。

e-POWERプロジェクト推進グループの羽二生倫之・パワートレイン主管は、キックスでは「これまでの充電重視から車速重視に転換し、40km/hあたりまでの低速域では極力発電しないよう、新しいエネルギーマネジメントを導入した」と説明する。40km/h以下の領域では、バッテリー残量がよほど少なくない限りエンジンを始動させず、低速域で気になるエンジン音を排除して静粛性を高めているのだ。

これは「市場での反響などビッグデータから低速域で要求されるパワーはそう大きくない」(羽二生氏)と判断、割り切った制御に改めたという。さらに静粛性の向上では、吸音材や板厚を高めたガラスの採用などにより「キックスのなかでもe-POWER専用の仕様」(第二プロジェクト統括グループの山本陽一・車両開発主管)も導入している。

日本向けのキックスはまず、2WDのe-POWERのみとなっている。4WDやガソリンエンジン車といったバリエーションの拡大については、「お客様の反響をよく聞いて、キックスがもっと良くなるよう開発を進めていきたい」(日産オートモーティブテクノロジーの迹見武司氏)と、今後の展開に含みを残した。

また、日本向けのキックスはタイ工場で生産しているが、山本氏は「タイからグローバルに展開する第1弾となる。基本はタイ一本での生産で進めるので、日本では計画していない」と指摘した。一方、キックスの国内での販売計画については公表していないものの、発売後から3週間弱で8000台の受注は、新型コロナウイルスの影響を考慮すると順調な出足といえそうだ。