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1156馬力の『電動カイエン』、8月に日本上陸へ…ポルシェジャパン社長「それでもポルシェはスポーツカーだ」
ポルシェジャパンは10日、フル電動化した新型『カイエン・エレクトリック』を今年8月に日本市場に導入すると発表した。納車開始は9月頃を見込む。同日開幕した「オートモビルカウンシル2026」会場で、同社社長のイモー・ブッシュマン氏が明らかにした。価格は1335万円から。
ブッシュマン社長は「どのセグメントだろうが“ポルシェ=スポーツカー”であり、運転をどう楽しんで頂くかというのが基本軸としてある。そこで選択肢をできるだけ提供していくということ」と話し、エンジンを搭載する従来の『カイエン』シリーズも継続して販売されることが明らかになっている。
ポルシェ カイエンは同社初のSUVとして2002年9月に登場。スポーツカーブランドが手掛けるSUVの先駆けとなったモデルで、現在に至るSUVブームの火付け役にもなり、ポルシェの屋台骨を支える大ヒットモデルとなった。新たに登場する新型カイエンは、その名の通りフル電動化されたBEV(バッテリー式電気自動車)となる。『タイカン』に次ぐ2台目のBEVとして、ポルシェの新たな選択肢を世に問うモデルとなる。
最高出力は850kW(1156ps)、0-100km/h加速タイムは2.5秒というスーパースポーツカー顔負けの圧倒的なスペックを実現しながら、最大充電電力400kW、最大航続距離642kmとBEVとしての実用的性能も両立させている。
希望小売価格(消費税込)は「カイエン・エレクトリック」が1335万円、「カイエン・ターボ・エレクトリック」が2101万円。昨年11月より予約受注をおこなっている。
◆「ターボ」はポルシェ市販モデル最強の1156ps
エントリーモデルのカイエン・エレクトリックは、最高出力300kW(408ps)、ローンチコントロール使用時には最高出力325kW(442ps)まで引き上げる。最大トルクは835Nm。0-100km/h加速タイムは4.8秒、最高速度は230km/hとなる。
そしてカイエン・ターボ・エレクトリックは、ローンチコントロール作動時に最高出力850kW(1156ps)、最大トルク1500Nmを発生する。0-100km/h加速タイムは2.5秒、0-200km/h加速タイムは7.4秒、最高速度は260km/hに達し、ポルシェの市販モデルとして史上最もパワフルなモデルとなる。
通常走行モードでの最高出力は630kW(857ps)で、「プッシュ・トゥ・パス」機能を使えばボタン操作で130kW(176ps)を10秒間追加できる。両モデルとも4WDで、電子制御ポルシェトラクションマネジメント(ePTM)を装備する。
◆フォーミュラEレベルの回生と高速充電
エネルギー回生は、フォーミュラEと同レベルの最大600kWの回生出力を達成。日常のブレーキ操作の約97%を電気モーターだけで処理できるため、機械式摩擦ブレーキが介入する場面はほとんどないという。
心臓部には新開発の113kWh高電圧バッテリーを搭載。航続距離(複合WLTP)はカイエン・エレクトリックで最大642km、カイエン・ターボ・エレクトリックで最大623kmを実現した。
800V技術により最大400kWの直流急速充電に対応し、充電状態(SoC)を10%から80%まで増加させるのに要する時間は16分以内。10分以内にカイエン・エレクトリックで325km、カイエン・ターボ・エレクトリックで315kmぶんの航続距離のエネルギーを追加できる(いずれも欧州仕様)。
また、新型カイエンはポルシェとして初めて最大11kWのインダクティブ(ワイヤレス)充電をオプションでサポートする。専用フロアプレートの上に駐車するだけで自動的に充電が始まる。
◆先進的なシャシーとデザイン
シャシーには、ポルシェアクティブサスペンションマネジメント(PASM)を備えたアダプティブエアサスペンションを両モデルに標準装備。ターボモデルにはポルシェトルクベクトリングプラス(PTVプラス)リミテッドスリップリアディファレンシャルも装備される。両モデルとも後輪を最大5度操舵するリアアクスルステアリングをオプションで設定できる。
空気抵抗係数は0.25で、このクラスではトップクラスの空力性能を誇る。ポルシェアクティブエアロダイナミクス(PAA)システムが走行状況に応じて空力特性を調整する。
ボディサイズは全長4985mm、全幅1980mm、全高1674mm。ホイールベースは3023mmで、従来の内燃エンジンモデルより約13cm延長されたことで後席の足元スペースが拡大した。ラゲッジコンパートメントの容量は781~1588リットルで、フロントラゲッジコンパートメントに90リットルを追加確保する。最大3.5トンのけん引性能も備える。
インテリアには新開発の「ポルシェドライバーエクスペリエンス」を採用。有機ELパネルの「フローディスプレイ」、OLEDテクノロジーを採用した14.25インチのフルデジタルメーターパネル、14.9インチの助手席側ディスプレイ(オプション)を組み合わせ、ポルシェ史上最大のディスプレイエリアを実現した。AR技術搭載のヘッドアップディスプレイも初採用し、車両10m前方に87インチ相当の映像を視覚的に表示する。
◆EVはスポーツカーの走りを味わう選択肢のひとつ
新型カイエンのフル電動化は、既存のカイエンシリーズのパワートレインの選択肢を補完するもので、BEVに一本化されるわけではない。エンジン車とハイブリッド車は今後も世界中で並行して販売される。ポルシェは2025年9月、新たなブランド戦略を発表し、エンジン車、(プラグイン)ハイブリッド車、そしてBEVをバランスよく市場に投入していくことを明らかにしていた。その新たな戦略を世に問う第1号が、新型カイエンとなる。
ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン社長は、新型カイエンが今年8月に日本市場に正式導入予定であること、そして翌9月には納車を開始する予定だと明かした上で、「ポルシェが特別なのは、必ず色んな方法の再定義をしていく姿勢にある。空冷から水冷に置き換えた革命もそうだし、今回EVを展開していくのは正解だと思っている。内燃機関とハイブリッド、そしてEVという2つの異なる哲学を両立できていると思う。SUVをEVに変えるということ、その時にどうなるかというのをしっかりと再定義している」と話す。
その柱となるのはやはり「スポーツカーブランドである」という哲学だ。
「私たちにとって、どのセグメントだろうが“ポルシェ=スポーツカー”であり、運転をどう楽しんで頂くかというのが基本軸としてある。そこで選択肢をできるだけ提供していくということだ。内燃機関か、EVか、さらには新しいエンジンを開発してハイブリッド化していくのか、それぞれがどういうポジショニングで受け入れられていくのか、そうしたことを見極めながらそれぞれのセグメントで再定義していくことになる。次にどのセグメントでそれら全てに取り組むか、というのは具体的な商品が出る時に明らかになると思うが、根底に流れている考え方は『スポーツカーの運転ってこうだよね』ということ。どのモデルを購入してもスポーツカーのドライビングが楽しめる、ということをどう担保していくか。そこに尽きると考えている」(ブッシュマン社長)
ブッシュマン社長はドイツのアウディに入社後、フォルクスワーゲングループを渡り歩き、長年にわたりアジアや中国、そして日本でのビジネスを牽引してきた。2024年8月よりフォルクスワーゲン グループ ジャパンのブランドディレクターを務め、2025年8月よりポルシェジャパンの代表取締役社長に就任している。同氏は日本市場について「世界中を見ても非常に洗練された市場だ」と分析する。自動車文化の祭典「オートモビルカウンシル2026」の場での取材だったこともあり、「今日、この会場に並ぶクラシックカーや、皆さんが抱いている情熱を見れば、それは大きな証左だと思う」と話した。
その一方で、「ポルシェは、そのターゲットを明確に定義するのが難しいブランドだ」という。
「年齢、ジェンダーなどさまざまなデモグラがある。ただ共通するのはクルマへの愛であり情熱だと思う。老若男女関係なく、トップマネージャーが最新のモデルを購入するという例もあれば、若い方が初めての認定中古車を手にしてワクワクしてらっしゃる。これら全てを私たちのブランドがつないでいるという実感がある」(ブッシュマン社長)
新たなファンづくりについては、「お客様、そしてポルシェの友人である皆様とのエンゲージメントについては日々考えている。(イベント等で)かっこいいポルシェに触れていただき、若い人たちには憧れを頂いてもらう、そしていつかオーナーになって頂きたいというのもあるが、社会に貢献し、そこで一緒に何かを感じ取れるような関係づくりをしていく。その例がポルシェエクスペリエンスセンターで、ポルシェに触れながら若い人たちに安全に運転する技術を学んで頂くというのもひとつの取り組みだ」とし、今後も拡大していくとした。












