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フェラーリ『849テスタロッサ』登場、新型ベルリネッタに見る伝統と革新の融合とは?[詳細画像]
フェラーリは9月9日、新型プラグインハイブリッド・ベルリネッタ『849テスタロッサ』を公開した。ミッドリアにV8ツインターボと3基の電動モーターを組み合わせ、総出力は1050cvに到達。『SF90ストラダーレ』の性能を上回る、新たな頂点に位置づけられるクーペだ。
●70年代のスポーツプロトタイプに着想を得たライン
V8エンジンは全面改良により最大出力830cvを発揮し、従来比で50cv向上。レーシング技術に由来する新ソリューションと再設計のアクティブスポイラーを採用し、250km/hで415kgのダウンフォースを生成する。冷却性能も15%向上した。電子制御はフェラーリの現行ラインナップで最も先進的とされる。
車名「テスタロッサ」は、1956年のレーシングエンジンで赤色のカムカバーを指す呼称として始まり、1984年のロードカー『テスタロッサ』の車名へ受け継がれた伝統に由来する。849テスタロッサは、未来的でありながら歴史に根ざしたデザインと、乗り心地・内装の洗練を両立させることをめざしたモデルだ。
スタイリングは1970年代のスポーツプロトタイプに着想を得た幾何学的なラインが特徴。形態と機能の相乗効果で空力効率を高め、パワートレインやブレーキの冷却も最適化した。コックピットは包み込む形状と人間工学を重視し、中央のセイルモチーフに統合したシフトゲートで操作性を高めた。機械式ボタンを備える新型ステアリングと新開発HMIにより、車両とのインタラクションをシンプルにしている。
●ツインテールとアクティブスポイラー
空力面では、フロントアンダーフロアを新設計し、3組のカスケード式ボルテックスジェネレーターでアウトウォッシュと吸気を最大化。サイドのインテークやドア内のチャネルでインタークーラー流入を増やし、ラジエーターへの気流を最適化した。
角張ったフロントバンパーのバンパーレットや大型スプリッターは前方の気流制御を担い、リアは、『512S』に由来するツインテールとアクティブスポイラーの組み合わせで、高いリアダウンフォースを確保する。リアアンダーボディはマルチレベルディフューザーと一対のボルテックスジェネレーターで拡散効果を最大化し、抗力を低減した。
●彫刻的なサイドのラインと立体的なエアインテイク
デザインはフラビオ・マンゾーニ率いるフェラーリ・スタイリングセンターが担当。1970年代のスポーツプロトタイプに着想を得た直線的かつ幾何学的な造形が特徴で、航空学的要素を取り入れながら未来的なフォルムを実現した。
側面は深い彫刻的ラインを持つドアが特徴的だ。ブラックのエアインテイクはインタークーラーへの吸気を強化し、後方は512Sをモチーフにしたダブルテールデザインへとつながる。フロントは1980年代のフェラーリを想起させる水平基調のフェイシアを持ち、ワイドな印象と空力性能を両立させた。
リアはツインテール構造とアクティブウィングを組み合わせ、特許取得済みの空力ソリューションを形成する。丸型マフラー周りの造形とフルワイドディフューザーにより、パフォーマンスを主張している。鍛造ホイールはダイヤモンドカット加工と空力プロファイルを備え、乱流抑制と冷却効率を最適化した。
●“セイル”モチーフのシングルシーターふうコックピット
インテリアは、水平なダッシュボードとシングルシーターふうコックピットを融合した。二段重ねのダッシュボード上段はC字型エアベントをそなえ、浮いているような造形。上下のダッシュボードの間に操作系を配置した。下段は『F80』を想起させる“セイル”モチーフのウォールを設け、センタートンネルやドアパネルに連続した。
シート快適性を重視した「コンフォートシート」と、ホールド性を高めた「カーボンファイバーレーシングシート」を用意。空間効率と人間工学に基づき、アクセス性や収納性も向上している。
HMIはデジタルとアナログを統合。象徴的なエンジンスタートボタンを含む物理コントロールを残しつつ、eマネットイノ経由で電動走行モードの再設定が可能。Apple CarPlayとAndroid Autoに対応し、センタートンネルにワイヤレス充電を備える。専用アプリ「MyFerrari Connect」により遠隔監視にも対応する。